WikiScanner

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WikiScanner(ウィキスキャナ)とはウィキペディア上の情報の書き換えをした非ログインユーザーのIPアドレス記録を解析し、さらにそこから得たIPアドレス企業政府機関等のIPアドレスのつきあわせを行なう検索サービスである。ウィキペディアで公開されている非ログインユーザ(IPユーザー)の編集履歴を解析するツールであり、ログインユーザーの編集については接続元のIPアドレスが公開されていないため解析対象にならない。

カリフォルニア工科大学情報工学専攻のバージル・グリフィス (Virgil Griffith) が開発し2007年8月14日に発表した。発表当初はWikipedia Scanner(ウィキペディア・スキャナ)とも呼ばれた。

目次

概要

Wikipediaはそのシステム上、理念上の理由から特定の保護ページなどを除いて、誰もが全てのページを編集する事を可能としている。その為、中には第三者を装って自分や自分に関係する項目のページ内容を書き換えるという問題がたまに出ているが、実態はなかなか明らかにされる事はなかった。

これまで非ログインユーザーの編集内容は個々のIPアドレスごとには閲覧可能なものの、IPレンジや組織単位での把握は簡単にはできなかった。WikiScannerを使うと、その自作自演とも言うべき特定のIPレンジあるいは組織からの編集作業の内容が一目瞭然となる。

AP通信(American Press)のインタビューに対し、グリフィスは「これまで問題とされていなかったようなデータ間を結合させることで、自分の嫌いな企業や団体に大騒動(炎上)が巻き起こせたらいいね(Griffith wanted "to create minor public relations disasters for companies and organizations I dislike.")」と述べた。

又WikiScannerのFAQページにおいては

「Wikipediaは全体的に見て(論争になっていないページは特に)役に立ちます。論争の的になるようなページにおいてはWikiScannerのようなツールを用いることによって信頼性のある情報が得られます(Overall?especially for non-controversial topics?Wikipedia already works. For controversial topics, Wikipedia can be made more reliable through techniques like [WikiScanner].)」
「"開かれた" プロジェクトにおいては私が思うに、人々が匿名で編集をすることを容認するとともに様々なバックエンドでの解析を用いて荒らし情報操作を是正できるようにした方がいいと強く思います("For any sort of "open" project, I strongly prefer allowing people to remain anonymous while also doing various back-end analyses to counteract vandalism and disinformation.)」

とグリフィスは主張している[1]

尚、グリフィスはウィキメディア財団に雇用されていたことは無く、「WikiScannerは100%非営利目的である」としている。

技術的背景

Wikipediaではユーザー登録を行わずに記事を編集することができるが、その際その記事の編集履歴にユーザー名の代わりにIPアドレスがだれでも閲覧可能な状態で記録される。グリフィスはWikiScannerのFAQページにおいて、2002年2月から2007年8月までの累計34,417,493に及ぶIPユーザーの編集をデータベース化していると表明した。このデータベースは当初、グリフィスがWikipediaにおける匿名の編集履歴を誰でも抽出可能にするために約1ヶ月かけて構築したとされる。

IPアドレスからリモートホストの変換リストは2,668,095個に及び、そのうち累計187,529ホストから1回以上のWikipediaへの編集が確認された[1]

このサイトへの主な批判は「ある機関からWikipediaへの編集が確認されたとして、その編集が業務として行われたり正規職員が行ったかどうかは判らない。外部者がネットワークを利用して編集したのかもしれない」というものである。

バチカン市国からの編集が話題に上っている件については、著名なハッカーであるケビン・クーラン(Kevin Curran)は「この編集はバチカンが業務として行ったものかどうかを判別するのは難しい。悪意のユーザーがバチカン市国に侵入したり、IPスプーフィングなどのハッキングによって編集を行ったことも考えられる」とBBSの取材に対して語った。

これらの批判に対しFAQページでグリフィスは

「確かにある機関からの編集が業務で行われたか、それとも悪意のユーザーが行ったのであるかを判別するのは難しい。しかし、我々は編集がある機関から行われた。という事実については確認することができる」

「外部者が勝手に編集を行っているとして、そうであればそのネットワークは脆弱性を抱えているということが我々は類推できる」

と表明している[1]

マスメディアの反応

WiredアルジャジーラFOXニュースロバート・バード上院議員CIA等の編集を「恥ずかしい編集例」として取り上げ、「面白い投稿」について読者投票を行った[2][3]

BBCディボールド電子投票装置について行った編集例やバチカンからの編集例を取り上げたが[4]タイムズは「そういうBBCがWikipediaを書き換えている」と報道した[5]

日本ではNHKのテレビ番組『未来観測 つながるテレビ@ヒューマン』にバージル・グリフィスがインタビューに応じ、ウィキペディアを利用した企業による自作自演の宣伝活動に対し批判した。

話題となった主な編集

現在WikiScannerによって、大企業や政府の内部のPCからの接続によってWikipediaの内容が編集された事が明らかになっている。大半は趣味関係のものや専門知識を元にした修正だが、中には他人の誹謗中傷を書き込んだり都合の悪い情報を削除しているケースもあった。然しながら一部マスコミの報道では編集内容の適当・不適当問わず改竄という言葉が盛んに使われた。

例えば、オーストラリア首相府が閣僚に対して批判的なWikipedia内の記事を削除していたことが2007年8月24日に明らかとなった。他、「フリーメーソンモルモン教悪魔の所業」や「イエスキリストこそ唯一の神だ」といった過激な表現の記事を書き込んでいた事も判明し、釈明に追われた。

日本においても2007年厚生労働省農林水産省から大量の記事の編集が行われていたことが発覚した(日本語版Wikipediaの場合参照)。厚労省からは消えた年金問題で政府を追及していた民主党衆議院議員長妻昭に対して誹謗中傷が行われていたり、農水省からはガンダムの記事に大量の書き込みが行われていた。これを受け、両省の事務次官はそれぞれ記者会見で遺憾であるとするコメントを発表した。この事件以後、各省庁はウィキペディアへの書き込みができないように内部のパソコンのシステム設定を変更するなどの対処をしている。一方で、省庁外部のパソコンによる改竄の可能性も一部では指摘されている[6]

なお、日本語版WikiScannerの開発にはエイザ・ラスキンが貢献している。

日本語版Wikipediaの場合

日本語版以外のWikipediaの場合

Wikipedia上での反応

ジミー・ウェールズはWikiScannerによる騒動を「すばらしい…気に入った。このツールはWikipediaにおける加筆者の情報をこれまで以上に得られる。俺はこんなツールを待っていた!」と表明した[17]。別の話では、ウェールズは「これは大好きだ。大いにサポートしよう」と語ったともいわれる。

BBCに対し、Wikipediaの匿名スポークスマンは「このツールはWikipediaの透明性に対して貢献を行い、Wikipediaは次の段階に達しようとしている。WikiScannerは特定機関や個人からの記事編集を低減させるかもしれない」と語った。

脚注

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関連項目

外部リンク

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