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USB(ゆーえすびー、Universal Serial Bus:ユニバーサル・シリアル・バス)は、コンピュータに周辺機器を接続するためのシリアルバス規格の一つである。
概説Universal(汎用)シリアルバスの名の示す通り、さまざまな周辺機器を接続するためのバス規格であり、最初の規格となるUSB1.0は1996年に登場した。現在のパーソナルコンピュータおよびその周辺において、最も普及した汎用インターフェイス規格の一つである。最終的には、レガシーポートとも呼ばれる従来からのシリアルポート (RS-232) やパラレルバス(パラレルポート)、PS/2(マウス、キーボード)端子などの置き換えをその目的の一つとしている。 バスパワー方式としてホストアダプタ(一般的にはPC本体)からの電源供給を可能とした上でプラグアンドプレイにも標準で対応しており、当時の一般的な外部インターフェースでは不可能であったホットプラグも可能としていた。USBハブを介して最大で127台接続可能である。 さらにUSB2.0の登場によって、転送速度とシステム負荷の軽減に大幅な向上が見られたことなどから急速に普及し、現在のパーソナルコンピュータ環境では最も頻繁に周辺機器との接続に使用される規格である。近年、USBメモリと呼ばれる可搬性の高い記憶媒体の利用者急増や、単に携帯電話やデジタルオーディオプレーヤーなどへ電源供給をする為の端子として利用されるなどUSBの重要性がさらに増している。 当初はインテルなど4社が仕様を策定したが、2006年10月現在では、NPOであるUSB Implementers Forum, Inc. (USB-IF) が仕様の策定、管理などを行なっている。 歴史USB(ユニバーサル・シリアル・バス)は、それまでのレガシーインタフェースに代わる新たな汎用バス・インタフェースとして、コンパック・インテル・マイクロソフト・NECにより策定された。 USBインタフェースは、当初からホットプラグを可能とする画期的なインタフェースとして注目を集め、Microsoft WindowsにおいてはWindows 95 OSR2から、MacintoshにおいてはMac OS 8.1からサポートされるようになった。ただし、Windows 95 OSR2とUSB Supplemental Support、及びメーカー提供のデバイスドライバの組み合わせによる対応は追加仕様であり、周辺機器メーカーも乗り気ではなく、OSの標準仕様として盛り込まれる Windows 98 が登場するまでは様子見の感が強かった。 USBに対して動きが素早かったのはUSBの仕様策定にも関わったNECである。NECはPC-9821やPC98-NXにUSBポートを搭載するだけでなく、1997年にはTA、マウス、キーボード、スキャナ、プリンタ、ジョイスティック等多種のUSBデバイスを登場させていた。ただし、これらの素早い展開は一部にWindows98以降でサポートされない物も出てくるなど混乱を生じる原因ともなった。 PC/AT互換機最初のホストアダプタ製品は、1996年にPC向けのPCIインターフェイスに増設するカードとして登場した。 またIntelが1996年にリリースしたPC向けチップセット430HXにおいてUSBホストアダプタ機能を内蔵すると、USBを搭載したPCは急速に普及を開始する。 IBMは、AptivaJ/Hシリーズ1996年11月モデルでオンボードのUSBポートを備えた機種を登場させた(前述の430HXチップセットの採用による)。しかしキーボードやマウスはPS/2ポートに接続されていた。 当時のWindows 95 OSR2では、USBデバイスのサポートは限定的なものであったため、IBM側では動作を保証しない非公式のUSBドライバを添付するに留め、該当機種に付属したマニュアルにはこのドライバの入った付属ディスクに動作未保証が明記され、同社サポートダイヤルでもプリインストールのWindows95と付属ドライバで動作させていた環境では動作保証はないとアナウンスしていた。これらはAptivaに限らず、同時期の他の互換機についても同様である。これらの機種のUSBポートは、Windows 98等のUSBサポート機能のあるOSを導入した際に、はじめて正式対応される性質のものであった。 標準添付のマウスやキーボードをUSBによって接続しPS/2ポートを廃した製品は、日本国内においてはNECが1997年秋に発売したPC98-NX(PC/AT準互換機)が最初とされる。これはUSB接続のマウスとキーボードを「レガシーエミュレーション」によりPS/2デバイスのフリをさせるようにしたものである。ただし、初期のPC98-NXについてはPS/2ポートはシステム基板上に存在し筐体側で塞がれているに留まり、またシリアル/パラレル等のレガシーポートも健在である等、レガシーフリーを徹底したものではなかった。また当時の一部機種ではBIOSのデフォルト設定に問題があり、当時のLinux 2.4系Kernel(カーネル側でもレガシーエミュレーションを想定していなかった)のインストール時に正しく認識することができなかった。このような経緯を受け、後にサードパーティ各社から発売されたUSB機器の中には、トラブルを嫌気してPC98-NXでは動作保証しない旨表示するものも存在した。 このようにUSBホストアダプタの実現と搭載は早かったものの、PC互換機を中心とした市場では、これらの接続インターフェイスの移行を無闇に急き立てられることはなく、移行は緩やかなものとなった。長年に渡って互換性が検証され、よくメンテナンスされた「枯れた」レガシーインターフェイスは動作も安定しており、実際にマウスやキーボードを接続するPS/2は割り込み処理によって低負荷で安定した動作を実現しており、またプリンタや外付けストレージデバイス等を接続するパラレルポートもECPによる転送速度はUSB1.1よりも高速であり、SCSIはさらに高速であった。これらのレガシーポートの多くは、ホットプラグにこそ対応しないもののプラグアンドプレイへの対応は進んでおり、ユーザビリティの面でも特に不自由が無かったといった事情も重なったため、USB1.1の段階では性能はもとより利便性の面においても移行にメリットを見出し難いという事情も存在していた。 なおUSB1.1に正式対応したのはWindows 98 Second Editionからで、その後登場したUSBデバイスは初期版Windows 98以前を対応環境に含めない場合がほとんどである。ただしSecond EditionもUSBマスストレージクラス(後述)などのドライバを標準装備していないため個別にドライバをインストールする必要があり、挿したらすぐに使える便利さは備えていない。 PC市場においてUSBデバイスはUSB2.0が登場した2000年頃より急速に普及を始め、現在では外付け用周辺機器の接続用バスの主流の座はUSBに移っている。レガシーバスを搭載しないレガシーフリーPCも現れており、特にノートパソコンでは現在では珍しくはなくなった。しかしUSBとレガシーポートの併用もまた、実に10年以上の長期に渡り続いている。レガシーポートを搭載したPCは現在でも一般的に販売され続けており、完全な移行はいまだ完了していないという状態である。 MacintoshMacintoshでは、1998年にiMacで標準装備された。こちらはモニタ一体型の斬新なデザインとともに、従来の汎用インターフェイスADBのみならずSCSIやシリアルポートも廃しUSBへ一本化するなど、PC98-NXよりさらに思い切った仕様で登場し、話題と議論を呼んだ。従来はUSB機器の製造・販売に躊躇していた周辺機器メーカーも、既存のインターフェイスを扱うことができなくなったiMacシリーズ向けとしてUSBへの対応を迫られる形となり、シリアルポートやSCSIなど従来アダプタからの切り替えが遅いPC/Windows向けのUSB機器に対し、iMacに向けた製品として市場投入が行われるようになった。 またこのUSB接続の周辺機器が次々に発売されて行く中では、専用のデバイスドライバを必要としないハードウェア(OSやUSBサブシステムに内包されたクラスドライバで動作する、マスストレージクラスやヒューマンインターフェイスデバイス等)の場合は単一パッケージの製品がWindowsとMac双方で接続可能となるものもあり、また一部製品では両環境向けのデバイスドライバを同梱するものや、ハードウェア自体は同一でありながらMac向けとWindows向けのドライバを添付した製品をそれぞれ別パッケージとして供給するものなども現れ、iMac本体に合わせたトランスルーセントデザインのUSB周辺機器が相次いで発売された事もあって、Mac市場では一気に普及が進んだ。 また既存の(ADBポートを搭載し、USBポートを持たない)Macintosh旧機種向けには、サードパーティーからPCIバスに挿入するUSBホストアダプタも発売された。これはPC互換機用のホストアダプタカードと同様の製品であり、実際に単一のカード/パッケージでPCとMacの双方に対応した製品も存在した。 こういった切り替えに関しては、iMac/Macintoshシリーズの販売元であるApple社の製品で旧来製品からiMacに切り替えたユーザーにとっては、従来機種用の周辺機器が使えないという混乱を生んだが、iMacが新規にパソコンを購入する初心者向けの機種であったことや、Power Macintoshシリーズ(特にPower Mac G3)などUSBを採用しながらも完全にはレガシーポート(旧来接続端子)を廃さなかったヘビーユーザー向けの上級機種が存続していたこともあって、それほど大きな混乱も見られなかった。iMacを新規に購入した初心者ユーザーらは、必要な周辺機器をそろえるにあたり、様々な周辺機器が難しい設定もなく一律に接続できるUSBを歓迎した。 PC-9821NECのPC-9821は他社に先駆けてUSBに対応したモデルを出していたが、USB登場時点ですでにPC-9821自身が末期であったこともあり、NEC製の機器を除き対応機器は非常に限られている。 ゲーム機家庭用ゲーム機ではドリームキャストとXboxがUSBをアレンジした独自形状の端子によるコントローラ接続を採用した。最初に汎用USB端子を採用したのはプレイステーション2だが、一部の周辺機器の接続を除けば積極的には活用されなかった。2000年代後半に登場したXbox 360・プレイステーション3の汎用USB2.0端子はコントローラを接続するほか、パソコンに近い柔軟な活用性を持っている。またWiiもUSB2.0端子を備えるが、用途はネットワークアダプタやキーボードなどの接続に限られる。 携帯ゲーム機のプレイステーション・ポータブルはそれ自体がUSBデバイスとして機能し、パソコンやプレイステーション3に接続してデータのやり取り・充電などを行う。 最近のアーケードゲーム基板NAOMIやシステム246等のI/O通信にもUSBケーブルが流用されているが、こちらは業界団体JAMMAで策定されたJAMMA VIDEO規格(JVS)となっており、互換性はない。 デジタル家電携帯電話端末はUSBケーブルを使ってパソコンに接続しデータのやり取りや充電、携帯電話の通信網を使ったデータ通信などを行う(携帯電話側の端子は独自のものが多いが、汎用USBポートを採用したものもある(後述)。携帯音楽プレーヤーなどの小型デバイスも汎用USB端子を備えPCに接続するものが多い。 薄型テレビ・AVアンプ・デジタルフォトフレーム・DVD/BDレコーダー/プレーヤーなどもUSB端子を持つものがあり、USBメモリ内のマルチメディアファイルを再生したりデジタルカメラ・デジタルビデオカメラ等との接続に利用する。 バージョンUSB1.0
USB1.1
USB2.0
USB3.0
Wireless USB2005年5月発表。Agere Systems、ヒューレット・パッカード、インテル、マイクロソフト、NEC、フィリップス、サムスン電子の7社により策定された。有線USB規格とは接続性を考慮しているが独立した規格として作成されている。 データは128ビットAESで暗号化されUWB技術によりデータを転送する。1つのホストが同時にすべてのデバイスと通信できるため有線のUSBと異なりハブは仕様上存在しない。ただし有線のUSBデバイスをWireless USBにつなぐための有線USBデバイスからみるとハブ的な動作をするデバイスクラスは定義されており "Device Wire Adapter (DWA) "と呼ばれる。現在市販されている有線USBの先につなぐことのできるWireless USBの親機はWireless USBの仕様上の「ホスト」である。 1つのバス上のデバイスは127個で有線と同じ。論理層では有線USBとほとんど同様の仕様になっているが、無線の性質を反映してIsochronus転送の仕様は異なっており、一定数の再送などを行う(有線USBでは再送は行わない)、40Mbpsまでに制限されるなどの差異がある。 通信速度はホスト・デバイス間の距離等により変化することがあり物理層で53.3-480Mbpsをサポートする。ホスト・デバイス間距離3メートルで480Mbps、10メートルで110Mbpsの性能を目標として設計されている。 機能概略USBでは、1つのバスに仕様上最大127台の機器を接続し同時に使用することができる。ホットプラグにも対応する。ただしOS、USB機器によっては、取り外す場合USBデバイスを停止させる手順を実施しないと警告が出ることがある(これは、ドライバソフトウェアの処理で、状態の不整合による不具合が起こることがあるため)。 ホストを根 (root) とし、ハブとデバイスによる木構造の接続形態をとる。通信データはパケット化され送られる。ハブとデバイスは動作中それぞれ独立したバスアドレスを持つ。このアドレスはデバイスがバスに接続時にホストにより動的に割り当てられる。アドレスは7ビットであり、特殊用途のアドレス0を除くと127個の個別デバイスが同一バス上に同時に存在できる。パケットは基本的にブロードキャストされ、パケットに指定されているあて先アドレスを見てデバイス側で必要なパケットを受信する。 通信は非対称で、かならずホスト側からの働きかけにより開始される。したがってSCSIなどと異なりバス上でデバイス間の通信を行うことはできない。 周辺機器同士を直接接続することが可能なUSB On-The-Goという拡張規格もあるが、これも動作中はどちらかがホストとして動作している。 転送速度
転送モード
USBクラスUSBでは、周辺機器の機能によってグループ分けされたUSBクラスと呼ばれる仕様群が定義されており、それぞれのクラス仕様(クラス仕様によってはサブクラスの仕様)に従って作成されたデバイスには統一した制御インターフェイスを用いることができる。そのため、クラス仕様準拠のデバイスは、クラスドライバと呼ばれる共通のドライバソフトウェアによって動作させることができることになる。例えば、多くのUSBメモリはマスストレージクラスというクラスに準拠し、OSがマスストレージクラス対応のクラスドライバを用意していれば、ドライバをインストールする必要がなく、初めて接続してもすぐに動作する。 ただし実際にはデバイス側の仕様違反、特定ホストの動作に依存したデバイスの実装、仕様上の曖昧さによるぶれなどにより、共通のクラスドライバでは動作しない、ドライバ内に不具合回避処理が盛り込まれる、専用ドライバが提供される、という場合もある。 サポートするOSパソコンでは、次の環境でサポートされている。
なお周辺機器を認識するドライバソフトウェアさえあれば、OSに関係なく同じ機器が利用できる。 ホストコントローラの種類USB規格ではホストコントローラの規格を定義しておらず、以下のホストコントローラ規格はUSBの仕様外である。複数のホストコントローラ規格がある。これらは制御方法が異なるため、それぞれ別のドライバーが必要である。ただし同一ホストコントローラ規格内では共通のものが通常使える。
端子端子形状はUSB規格で定められている。ミニ A端子B端子、ABソケットについては拡張規格であるOn the GO規格内で定められている。 現在定義されている端子形状には以下のものがある。
A端子はホスト側(パソコン本体の差込口や、ハブのクライアント側)、B端子はデバイス側(パソコンから接続されるプリンタなどの周辺機器の差込口や、ハブのホスト側)として使われている。Mini-B端子は、デジタルカメラなどの小型デバイス器に使用される。端子形状を変えることにより接続方法を制限しバストポロジーの木構造が保たれるように配慮されている。なお、ミニABソケットは、ミニAとミニBのどちらでも接続できるものである。マイクロABソケットについても同様である。(USB_On-The-Go参照) ピン配置
ケーブル規格ではケーブルはHigh/Full Speed用とLow Speed用の2つが定められている。安価に製造できるようLow Speed用は電気的特性が緩い。Low Speedデバイスではケーブルが分離できるように設計することが明示的に禁止されているため、単独のケーブルはすべてHigh/Full Speed用となる。 ケーブルの両端はA端子とB端子でなければならないと明示的に規定されている。市場で見かけることのあるUSB延長ケーブル(A端子とAソケットが付いたもの)は規格違反品である。さらにUSBロゴが付いたものもあるが規格違反品にUSB-IFがUSBロゴを発行することはなくニセモノである。 互換性バージョン間USB2.0規格はUSB1.1規格と互換性を保つように設計されたため、USB2.0規格のUSBポートに1.1規格で設計された機器をつないでも使える。また、USB2.0規格で新設されたHighSpeed機器をUSB1.1規格で設計されたポート、ハブにつないだ場合でも、FullSpeedの転送速度で使用できる。 ケーブルUSBケーブルの規格はUSB2.0で変更されていないので、同じものが使えることになっている。USB1.1の規格を正しく守っていない低品質のケーブルでは、HighSpeed通信においてケーブルの長さなどに制約を受けることもある。また「USB2.0対応」と称するケーブルも発売されているが、これはシールド線構造等外部からのノイズを防ぐ工夫がなされているものと考えられる。 ホストコントローラデバイスから見たとき、それぞれのホストコントローラにおける微妙な通信タイミングの相違が存在する為、いわゆる相性によりどちらかでないと正常に動作しないデバイスが過去に存在したものと考えられる。 その他複数機器接続規格上は、最大127台までの機器を一つのバスに接続することができる。木構造の「深さ」を示す Tier は、ルートハブ(ホスト)を含め7段までに制限されている。つまりデバイスとホストの間にハブは最大5台まで存在することができる。ケーブルの最大長は規格では遅延時間とVBUSの電圧降下の最大値として定められており、ケーブル1本あたり最大26nsおよび125mVである (§7.1.16, 7.2.2) 。
相性問題USBホストコントローラとUSBデバイス側のコントローラのメーカー・モデル・ファームウエア等の差異、かつてはさらにオペレーティングシステムやドライバ側の問題などによっても相性問題が生じたことも知られており、特に規格成立初期に登場したコントローラ同士を接続した際に混乱を生じたこともあった。 この”初期の相性問題”については、インテルが自社製のPC用チップセットにUSBホストコントローラを内蔵することによって各デバイスがインテル製チップセットのホストコントローラおよびWindowsへの接続に対して互換性の確保を図ることで、間接的に機器間の相性問題も収斂してゆくという結果を、USB1.1、2.0ともに辿っている。 また、USB1.1までの仕様では、インピーダンスの幅等の電気的特性における仕様がゆるく、コンプライアンステストも必須でなかったため、相性問題の発生を抑制し切れないという事情もあった。USB2.0仕様では電気的仕様が厳しくなり、USBロゴを取得するためにはコンプライアンステストが必須となったため、「相性問題」はほぼ解消されたといわれる。 しかし市場やユーザーの手元には初期に製造され相性問題を抱える製品が現存している場合もあり、また(Intel ICHやNEC、VIA等定評のあるコントローラ以外の)一部のメーカー・ベンダ製ホストコントローラとコントローラ間などにおいては相性問題を発生する状況も依然として存在し続けているため、注意が必要である。 給電能力USBは、基本的には信号ケーブルとして設計されている。その一方で実際的な利便性にも配慮し、小電力のデバイスについてはバスパワード(接続される周辺機器の駆動用の電源をUSBケーブルで供給する:"バスパワー"と省略されることが多い)による駆動にも対応している。供給電圧は5V、最大電流はローパワーデバイスは100mA、ハイパワーデバイスは500mAまでとされている。 この仕様は、当初はローパワーデバイスについてはPC/AT互換機におけるマウスやキーボードなどの接続に用いられたPS/2ポートのリプレイスを念頭に、マウスやキーボードに搭載される小電力の半導体ロジック等の駆動を前提として設計され、またハイパワーデバイスについてもそれらのロジック回路などよりは電力を要求するものの、いずれもスピンドルの駆動やデバイスの充電手段等としての利用を想定したものではなかった。 ハイパワーデバイスとしての仕様以上の電力を要求するディスクドライブ等のスピンドル媒体や、大規模な集積回路やメモリ等を搭載し電力を消費するキャプチャユニット等については、USBバスは純粋に信号バスとしてのみ利用し、電力はデバイスが自前で確保するという、セルフパワーと呼ばれる接続手段を用いることとされた。 また仮にローパワーデバイスのみの利用に限定したとしても、ハブを使用すれば端子の数こそ増えるものの、電力の不足が生じ得る。PC本体のUSBコネクタが最大500mAのハイパワーデバイスの要求電力に対応していたとしても、これをバスパワー駆動のUSBハブを用いてポートを分岐した場合、そこに仮にローパワーデバイス(最大100mA)を4基も接続してしまえば、規格上の供給能力をほぼ全て費やしてしまうことになる(市販のバスパワー駆動のUSBハブの殆どが4ポート以下で構成されている理由もここにある。ハブ自身もまた電力の消費と無縁ではない点にも注意が必要である)。セルフパワーハブを適宜介在させることなくバスパワーハブにさらにバスパワーハブをカスケードしてローパワーデバイスを接続してゆけば、規格に対しある程度の余裕をもって設定されたマージンさえ上回る電力要求がPC側のインターフェイスカードやバス、電源回路に突きつけられることとなる。これらの基本的な事情を無視して無軌道に増設し続ければ、そのツケはコンピュータ本体の電源やバッテリーに回され、駆動時間の著しい減少や電源回路の酷使・過熱、あるいは最悪のケースでは保護回路の作動・焼損といった事態すら招きかねない。 しかし市場では実際に、USBの普及に伴いこの僅かな供給電力をスピンドル媒体(2.5インチおよび1.8インチのポータブルハードディスク。また近年では消費電力の大きいDVD-Rの書き込みドライブ等)への供給電力に転用したり、携帯電話・PHSなどのバッテリー充電用の電源として流用する例が目立ち始めた。 コンピュータ本体との接続ケーブルとAC電源を別に用意する煩わしさをなくすために、一本のケーブルで機器を接続したいというユーザーの要求は根強く、USBの給電能力を増強するべくPlusPowerという電圧と電流の拡張も検討されていたが、安全性や互換性の問題などの指摘も相次いだことから正式に仕様には盛り込まれなかった。 この問題を解決するため、PoweredUSBという、USB 2.0ポートを拡張した独自規格が登場した。供給電圧5V、12V、24V。最大電流は6A。PoweredUSBに対応した接続ケーブルが必要とされる。しかし、2006年10月現在、この規格はUSB-IFから正式な承認を得られていない。 また、デバイスとは認識させず、電源のみを供給させる周辺機器(1台の機器に対して、2つのホストコネクタから2台分のバスパワーを供給するための特殊な二股ケーブルなど)も存在する。 汎用給電ポートとしてのUSB市場では、USBポートからコンセントのようにPCやセルフパワータイプのハブから電力が得られる点を利用して、USBを電源供給にのみ使いる周辺機器が次第に登場するようになった。携帯機器(携帯電話・PHS、PDA・スマートフォン、携帯ゲーム機・デジタルオーディオプレーヤー等)用の充電器・充電用ケーブルや、小型扇風機・電灯といった周辺機器(デバイスとは認識されない)、中にはUSBから電源を得る利点がほとんど見出せないようなものも商品化されており、電気街の商品棚をにぎわせている。年末になると登場する卓上クリスマスツリーや、夏季の扇風機などはもはや風物詩でさえある[1]。 いずれにせよ、一台数万円もするPCを単なる「高価なACアダプタ」として、最悪のケースでは保護回路の焼損や電源回路の破損・発火等のリスクに曝してまで使用する是非については、よく考慮すべきであろう。 一方、これらのような「USB周辺機器」を追認する形で、単に電源を供給するために電力供給機能のみに限定した、USBポートと同一形状のコネクタを持つACアダプタや、バッテリー・乾電池を使用した給電ユニット等も発売されている。このような製品を使用することによって、外出時にACアダプタを持ち歩かずに充電可能であったり、複数の機器を単一のACアダプタで使用することが出来る利便性がある。中国では、携帯電話の充電器にUSBポートを設け、複数キャリア間でもACアダプタが共用できるようにする方針を打ち出している(人民網日本語版2006年12月19日付)。ただし、メーカーが保証している一部機種を除いて、これらUSB関連製品を用いて充電することは機器メーカーの保証対象外となる。 2007年4月、Battery Charging Revision 1.0が策定された[2]。 端子形状・方向USB A端子はその端子を正面から見るといずれの側からも単なる長方形となっており、接続するための裏表を間違う事がある。実際にはオス側(穴のある側)表面にかかれているUSBのマークにより判断が可能だが、それを利用者が意識せず逆差ししてしまう事態もありうる。初期には逆差しによる故障が少なからず発生していた。 現在の多くの製品ではUSBポートの形状の工夫によって逆差しが物理的に不可能になるようにしているが、いまだ一部製品には逆差し可能なものが存在する。 速度表記としてのUSB 2.0480MbpsのHigh Speed転送やそれをサポートする機器と規格のバージョン番号であるUSB2.0を同一の意味で使う場合があるが、これは誤用である。USB2.0規格では依然としてFull SpeedデバイスおよびLow Speedデバイスは設計可能でかつ利用可能である。USB-IFではHigh Speedであることを明示したいような場合の用語として"Hi-Speed USB"を使うように指導している[3]。 独自の高速化技術HDDなどを接続するとHigh SpeedモードでもMass Storageクラス準拠では転送速度がボトルネックとなる場合があるため、転送方法を工夫で実効速度を向上させる製品を出荷しているところがある。バッファローの「TurboUSB」とアイ・オー・データの「マッハUSB」がそれで、20%-30%高速化すると謳っている。ソフトウェアで処理するため接続するパソコンの性能に依存し、両社ともWindowsとMac OSのみの対応となっている。 接続される主な機器
関連項目脚注・参照
外部リンク
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