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Power Macintosh(パワーマッキントッシュ)は、アップルが開発、販売していたデスクトップパソコンの製品群である。CPUにアップルコンピュータ、IBM、モトローラの三社で開発したPowerPCを採用した。PowerPC G4を採用した機種からはPower Macと改称された。 Mac OS 9以前の時代、Macintoshのオリジナルである680x0系CPUのマシンとバイナリ互換はないが、ダイナミックリコンパイリング(DRE)という仕組みにより、一部のシステムに密着したソフトを除くほぼ全てのソフトが使用できた。しかし性能を引き出すためにはPowerPC専用にコードを書く必要があった。そこで一つのソフトを両システムで実行できるよう二種類のコードを含んだマルチバイナリ形式であるファットバイナリが採用されていた。
概要Power Macintoshシリーズはかつてのアップルコンピュータの主力製品であった。製品のラインナップは比較的豊富で、ミッドレンジからハイエンドまでをカバーした。略称はPowerMacで、後にこれが正式な名称となった。一部を除いてセパレート型のデスクトップで、複数のメモリスロットや拡張スロットを持ち、拡張性が確保されていた。また多くの製品でプロセッサのアップグレードが可能であり、実際に多くのCPUアクセラレータが発売され、製品寿命の延長に一役買った。 製品構成はより入門者向けのPerformaが大量のソフトウェアをバンドルしていたのに対して、システムなど最小限のソフトウェアがバンドルされているだけのシンプルなものであった。 名称についてG3以前の機種では4桁のナンバーにより機種をわけた。最初の数字は筐体の形状を表しており、6xxxはピザボックス型(薄型デスクトップ)、7xxxは厚手のデスクトップ型、8xxxはミニタワー、9xxxはフルタワーである。次の3桁はその機種の世代や位置づけを表し、x100は第一世代、x500は第二世代の前半、x600は第二世代の後半である。 この命名規則は全機種に必ずしも当てはまるものではなく、廉価型やPerforma系の機種には多くの例外がある。 またG3以降はこの命名法は適用されなくなり、Blue & White以後は筐体の種類も一本化された。 第1世代(Power Macintosh 6100, 7100, 8100)Power Macintosh 6100,7100,8100はPower Macintoshシリーズ最初の製品である。プロセッサにはPowerPC 601シリーズを採用した。筐体はそれぞれ、6100がピザボックス、7100がデスクトップ、8100がミニタワーである。筐体のデザインは在来機種のCentrisやQuadraのものを受け継いでいる。拡張スロットにNuBUSを使用している唯一の世代であることからNuBus PowerMacと通称される。 設計は、従来の68KアーキテクチャからPowerPCアーキテクチャへの移行を円滑にするべく、互換性を重視したものになっている。拡張スロットにはNuBusを採用、メモリーは72pin SIMMを二枚組で使用することによって64bitのバス幅を確保している。これらは68K Macのユーザーが、これまでの投資を無駄にすることなく新アーキテクチャーへ移行できるようにとの配慮である。一方でこうした互換性重視の設計が、PowerPCアーキテクチャが本来の性能を発揮することの妨げになっていたという側面もある。 このシリーズではプロセッサーはロジックボードに直付けされているが、601PDSスロットにCPUアクセラレータを挿すことによって、G3及びG4へのアップグレードも可能である。 継承元同様、6100はボディのラッチのみで筐体を解放できるドライバーレス構造、7100もドライバー1本で簡単に解放できた。それに対し、8100は既に悪評の高かった「カバーを全て外し、ロジックボードを外さないと筐体内にアクセスできない」Quadra800系のボディであり、ファンの顰蹙を買うことになった。 ハイエンド機としての位置づけであったが、6100はそこそこ(性能比からすれば圧倒的に)安価であったため、初心者などパワーユーザー以外の層も68000系搭載のエントリーモデルではなく、こちらを購入した。この為6100はヒット商品となったが、一方で市場のPowerPC化が前倒しで進んでしまい、エントリーモデルは当面68000系搭載を継続というAppleの方針は転換を迫られる結果となった。 第2世代のPower Macintosh第1世代の3シリーズに続いて発売された。68k Macから引き継いだ設計を一新し、新たなデザインとなったPower Macintoshシリーズである。 ロジックボードの設計はNuBusやSIMMといった旧弊化した機構を排除し、PCIと168pin FPM DIMMメモリーを新たに採用した。これによりシステム全体のパフォーマンスが向上した。また、7200以外ではプロセッサがドーターボード上に搭載されているため、G3やG4といったより高性能なプロセッサへの交換も容易である。 7000番台はロジックボードの開発コード名が「T.N.T」、同様に8000番台は「Nitro」であるが、実際には両者はほぼ同一スペックである。 第1世代に対し、PCIスロットの搭載が特徴となったためPCI PowerMacと通称される。その後のPower Macintoshも(一部の例外を除いて)PCIスロットを持つが、基本的にこの通称はこの一連のシリーズのみを指す。 第1世代同様、デスクトップ型の筐体は7000番台の形式名を、ミニタワー型の筐体は8000番台を名乗った。9000番台は事情が特殊な為、別個に解説する。ピザボックス型の筐体は採用されなかった。 Power Macintosh 7500, 8500, 9500この世代として当初発売されたシリーズである。 製品の方向性としては、7500は個人ユース向け、8500はAV機能強化のハイエンドモデルである。また9500は内蔵グラフィック回路を持たず、グラフィックボードを別に搭載する、今日では主流だが当時はまだ珍しい形態の、高性能・高拡張性モデルであった。 CPUは、7500はPowerPC 601を、8500と9500は当時最速のCPUと言われたPowerPC 604を搭載した。これは、個人ユース向けである程度価格を抑えている7500と、映像スタジオなどが主なユーザーである8500・9500との差別化を図ったものである。 7500の筐体は、Macintosh IIシリーズ以来の1本ネジ仕様から脱却し、新設計となった。この新筐体は本体正面のクラッチを外すだけで解放できるドライバーレス仕様となり、この点は好評だった。一方、8500の筐体は、Quadra800系以来の筐体をPCI用にあわせて拡幅したもので、9500は更にそれを拡大したものだった。 批判
Power Macintosh 72007200は7500の廉価版で、メモリースロット数削減やメモリーインターリーブ機能非対応、プロセッサの直付けなどが特徴である。 CPUは銅配線のPowerPC 601vに変更されたが、当初発売された7200/90では7500の601よりも低速の90MHzに設定されていた。後に120MHz版が発売されるが、この為動作速度が7500と逆転してしまうという本末転倒の事態に陥った。 特にCPUのフラットパッケージ直付化は、逆にユーザーの怒りを買いPower Macintoshとしての商品価値を一気に削ることとなり、市場では影の薄い存在のまま終わった。 Power Macintosh 76007600はユーザーの希望である「T.N.TにPowerPC 604を搭載」という構成で発売されたモデルである。 構成は7500ほとんどそのままだが、PowerPC 604 132MHzに強化されたことにより、一気に高速化が図られた。後にPowerPC604e 200MHzのモデルも発売されている。 ユーザーの評価は一転、不朽の名作とまで言われ、第2世代Power Macintoshの決定版とも言うべきモデルとなった。パワーユーザーから初心者まで幅広く支持され、G3登場までの間、7300とともにAppleの屋台骨といえる存在だった。 PowerMacintosh 8600, 96008600、9600は銅配線のPowerPC 604eの登場とともに発売されたモデルである。良く誤解されがちだが、7600とは同時発売ではない。 ユーザーから憎悪の対象にまでなったQuadra800系以来のタワーケースをようやく一新、側面のクラッチを解放するだけで側面ドアが開けられ、拡張スロットやメモリスロットにアクセスできるドライバーレス仕様の新筐体となった。同時に9600は9500よりも若干コンパクトに纏められ、ミドルタワー程度の大きさに縮小された。 構成としては、8500、9500をほぼ踏襲している。 Power Macintosh 73007300は7600の廉価版である。しかし、7500と7200の関係とは異なり、その差異はAV回路(ビデオ入力機能・コンポジットオーディオ出力機能)の有無が最大のもので、他にはほとんど差異はなかった。CPUも同時期の7600/200のPowerPC 604e 200MHzに対し、同166MHz、180MHzと、大きな差異はなかった。 この為7600同様人気を博し、好調な売れ行きを示した。 7500、7200、8500、9500という初期ラインアップではユーザーの大顰蹙を買った第2世代シリーズだったが、7600、7300、8600、9600という豪華最強の布陣で締めくくられることとなった。 第2世代時期の廉価モデルPower Macintosh 5200, 6200, 6300, 5400, 6400第1世代の6100の好調により、68K Macは予定を前倒ししてクローズされ、Performaも一足飛びにPowerPCモデルへとモデルチェンジした。この為、Power Macintoshのメインストリームとしては、6100の後継となる廉価・小型機はラインアップされていなかったが、教育機関用などにシンプルで安価なモデルの需要も少なからず存在した。それらの用途としては、Parformaからバンドルソフトウェア、内蔵モデム、テレビ受信機能、赤外線リモコンなどを廃したモデルが用意され、Power Macintoshを名乗った。CPUはPowerPC 603~603eである。 Power Macintosh 4400、5500、6500PowerPC 603eを採用した低価格モデルで、Performaの廃止からiMacまでの「繋ぎ」として発売された。入門機種と位置づけられていたため、メモリスロットやPCIスロットが少ないため上位機種より拡張性は低い。またHDDはEIDE接続で、メモリーインターリーブも採用しないなど上位機種との違いは多い。 筐体は4400が小型デスクトップ、5500が一体型、6500がミニタワー。このうち5500と6500は、それぞれ前代のParforma5000系・6400系のボディを引き継いだ。4400はParforma6000系のそれとは異なり、金属を多用したボディで、PC/AT互換機のようなMacらしからぬ外観だった(歴代のMacでは唯一、フロッピーディスクドライブが左側、CD-ROMドライブが右側に配置された。他のMacはフロッピーディスクドライブは全て右側である)。 4400はグラフィックモデルが設定され、タブレットとPainter 4.0をバンドルして発売されていた。5500はシステムバスを50MHzに強化したほか、ビデオチップにATIのRage IIを搭載して、MacOS 8を快適に動かせる性能を持っていた。しかし、モデル後半に差し掛かっていた7600/200や7300/180と店頭価格で10万円と差が出ず、さらにApple自身がキャンペーンとしてこの時期店頭での販売にMacOS 8を添付していたため、新規ユーザーまで含めて上位機種の7300や7600の方に流れてしまった。 なお6500は日本では発売されていない。 Power Macintosh G3 DT, MT, All in OneプロセッサにPowerPC G3を搭載した最初の製品。DTはデスクトップタイプ、MTはミニタワー、All In Oneは一体型である。これまでの数字4桁のモデル名は廃止され、名称は全てPower Macintosh G3に統一された。通称「Gossamar G3」(All in Oneを除く)。 新採用のプロセッサ、PowerPC G3はこれまでの主力、PowerPC 604シリーズに比べ低価格、低消費電力でありながら、バックサイドL2キャッシュの採用により大幅な性能向上を果たしており、これにより旧来の製品に比べ飛躍的な性能向上が実現された。 MT・DTではGossamarと呼ばれる、これまでのPower Macintoshシリーズとは大幅に異なるアーキテクチャを採用した。これまでの独自の機能を満載した高機能路線を変更し、PC/AT互換機で広く普及している技術を採り入れることによって開発費の圧縮、ロジックボードの小型化、高性能化、更には低価格化に成功した。 最大の刷新はメモリーにPC/66 SDRAMを採用したことである。これまでPower MacintoshシリーズはFPM-DIMMを採用しており、2本のメモリーを対にして動かす「メモリーインターリーブ機構」を搭載することによって転送速度を高速化していた。しかしこの機構は複雑で、メモリーを2本単位で増設しなければ機能しないなどの弱点があった。GossamarではPC/AT互換機で主流になっていたSDRAMの採用をすることによりメモリーの高速化に成功した。 また、システムバスの動作速度もこれまでの最高50MHzから66MHzまで高速化され、システム全体の性能が向上した。ストレージデバイスの接続もこれまでのFast SCSI(10MB/s)からEIDE(16.6MB/s)に変更された。部品点数も大幅に削減され、ロジックボードの大きさがかなり小さくなった。 Gossamarアーキテクチャは後に発売されたPowerBook G3やiMacなど1999年までのMacintoshの礎となった。 一方でFireWire、USBはまだ非搭載[1]でキーボードなどの操作デバイスはADB接続であり、また内部はIDE化されていても外部ストレージ接続用にSCSIインターフェイスも搭載しており、第2世代までの名残も随所に見られた。シリアルポートを標準搭載した最後のデスクトップMacintoshである。 初期形の弱点は強力なCPUに比較するとグラフィックがあまり高性能ではない(ATI TechnologiesのRage IIをオンボード搭載)ことであり、マイナーアップデートでより高性能なRage Proを搭載した。 なおAll in Oneはアメリカの教育市場向けの機体である。ロジックボードは筐体に合わせて若干の設計変更を受けており、開発コードは「Artemis」である。日本では正式には発売されなかった。しかし「Macintoshは一体型」というユーザーに根強いイメージの為、日本も発売モデルの恒例である並行輸入は相当に見られた。日本ではロジックボードの開発コードを取って「アルテミス」と通称される。単に単語を頭文字で省略した「AIO」という略称もあるが一般的ではない。 Power Macintosh G3 (Blue & White)
1999年1月発売。ロジックボードはYosemite、筐体はEl Capitanという開発コードのシリーズ。FireWireとUSB, ATA-4を搭載した最初のPower Macintosh。ポリカーボネイトを外装に利用した、丸みをおびた半透明のデザイン。ロジックボードの取り付けてある側面を簡単に展開することができる。そのため内部部品の盗難防止や、子どもがいたずらなどで開けないよう、鍵が掛けられるようになっている。四隅にハンドルを配し、青緑色と半透明の乳白色のツートンカラーで、その形状と質感からポリタンクと呼ばれた。これまでにないデザインながら冷却性能などは確実に向上しており、El Capitanが見掛けだけではないことがわかる。この筐体は色や質感を変えながらPowerMac G4でも採用されている。 ロジックボードYosemiteの特徴は以下の通りである。
これらによって従来のGossamarアーキテクチャに比べ一段上の性能を発揮することが可能になった。ただし、AGPの採用は見送られており、次世代のPowerMacG4で搭載されることになる。 従来ROMで搭載していたファームウェアの一部を非搭載とした。Mac OSを起動する際は、Mac OSの機能拡張に「Mac OS ROM」と言うファイルを追加し、メモリに常駐させることで代替とした(ROM in RAM)。これは、iMacで先行して行われていたことである。このため、このシリーズ以降のMacではMac OS ROMを持たない8.1以前のMac OSは利用不可能となった[2] 一方で、従来ソフトウェアのライセンス認証に使用されていたドングルがADB接続を採用していたことや、ペンタブレット等がまだ高価なデバイスであったこと等から、資産を引き継ぐ為ADB(Apple Desktop Bus)インターフェイスは残されていた(これらは先行して発売されていたiMacで大問題となっていた)。本シリーズはADBを標準搭載する最後のMacとなった。 同時に、商標名に「Macintosh」(略称の「Mac」ではない)を冠する、最後の商品ともなった。 写真集Old World ROM詳細はOld World ROMを参照
The Power Macintosh 6100/60,最初にPowerPCを使用
New World ROM現在のPower Mac系列はNew World ROMを基にしている 脚注
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