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pixiv(ピクシブ)とはピクシブ株式会社が運営するイラストに特化したソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)である。日記や文章などではなく自分の描いたイラストとブックマークしたイラストそのものが利用者のプロフィールを形成し、全てのコミュニケーションの核となる。
歴史イラストが趣味のプログラマー上谷隆宏[1]が考案し、2007年9月10日にベータテスト公開。その後、登録者数が3週間で1万人を突破し個人での管理が困難になったことを主な理由に、同年10月1日よりクルーク株式会社(現・ピクシブ株式会社)が運営を行っている[2]。同年12月18日に大規模なリニューアルを行い、ほぼ現在の形のサービスとなった。 2008年10月現在の会員数38万人・イラスト総数180万枚・一日の投稿数8000枚・月間3.6億PVと、半年で3倍近い成長を見せている[3]。また、日本語にしか対応していないにも関わらず台湾・中国・アメリカ・韓国といった日本国外からの参加者も増加傾向にあり活躍している[4]。 pixivの好調を受け、2008年11月1日を以て社名も「クルーク株式会社」から「ピクシブ株式会社」へと変更され同社の中核事業となった。 特徴投稿・閲覧共にユーザー登録を必要とする会員制であるが登録は誰でも可能[5]で、他の利用者からの招待などは不要。基本的な利用は全て無料であるが、有料で追加的な機能を提供する有料会員制度の導入が予定されている[6]。 pixivのコンセプトはプロ・アマチュアやCG・アナログやジャンルなどの別を問わずユーザー登録した利用者自身が描いたイラスト[7]を投稿し、他の利用者がそれに様々なリアクションを行うことでネットワークを形成しコミュニケーションを図るというものである。投稿されたイラストを通じてのコミュニケーションがテーマであるため、閲覧のみの利用者としても参加は可能。 従ってマイピク(友達登録)や一行掲示板などのコミュニケーションに必要な標準的な機能こそ実装されているが、多くのSNSに見られる日記・コミュニティ・足跡(閲覧履歴)などの機能はない[8]。一方で、他の利用者のイラストを大きくフィーチャーできる「ブックマーク」、任意の利用者の新規投稿を容易に捕捉できる「お気に入りユーザー」、交流関係のあるイラスト同士を直接結び付ける「イメージレスポンス」などのイラストを主役にしたコミュニケーション機能が発達している。また、閲覧数・10段階評価・コメント・ブックマーク表示などでイラストへの反応が即座に手応えとして分かるのも特徴。 イラストは成人向けの性的またはグロテスクな表現を除きあえてカテゴリ分けを設けておらず[9]、誰でも自由にキーワードを追加できる「タグ」により柔軟かつ重層的な分類と閲覧を実現している。タグのこの柔軟性は、後述のようにイラストそのものを通してユーザー企画や諸々の交流が形成されるpixivの文化的特徴の基礎ともなっている。 投稿される作品は所謂コミック系のイラストが多くアニメ・ゲームを題材にしたファンアート(二次創作)の投稿も盛んであるが、それ以外にもさまざまな分野[10]のイラストが投稿され質・量共に渾然と混ざり合っている。 イラストに基本的な情報を添えアップロードするだけで自動的に自分のプロフィールページとして整理・展示され容量や枚数などの制限もなく半永久的に保存されるので、ウェブサイトやブログなどを運営するよりも手軽なイラストの公開・保存手段としての側面も併せ持っている。pixiv内のほぼ全ての要素が何らかのイラストへと繋がるよう設計されており[11]、保存されたイラストは先述のタグやソーシャルブックマーク性の強いブックマーク機能などのコミュニケーション経路を通じ閲覧され続けることになる。 機能トップページトップページはお知らせやみんなの新着イラストなどの公共的な要素とお気に入りやマイピクなどの個人的な交流要素とから成り、登録当初は前者しかないが利用と共に後者の要素が増してくる。使用していると時々はトップページに戻ることになり[12]、pixivという一つの場を全員が共有する交差点となっている。
以上の4項目は右肩のボタンで表示位置と開閉をカスタマイズできる。各種新着の保持期間は1週間。
これらの他、新しいコメント・掲示板への書き込み・メッセージ・マイピク申請・イメージレスポンス申請や事務局からの重要なお知らせがある時は検索バーの下に表示される。 プロフィールコメント・掲示板の書き込みや公開ブックマークの一覧やイラスト脇のプロフィール画像など様々な場所から各利用者のプロフィールページが開くので、普通に人とコミュニケーションを取っていれば自然に目に止まるようになっている。文字項目の記述は任意。 プロフィール画面の中央を最近投稿したイラスト3枚、ブックマークしたイラスト3枚、イメージレスポンスをした相手のイラスト3枚の計9枚が大きく占めており、これらが自分を表すプロフィールの中核となると同時に閲覧の最も重要なノードの一つとなる。
イラストの投稿と管理
イラスト600x600を超える大きなイラストの場合はリサイズしたものが表示される。その場合はイラスト部をクリックすると新しいウィンドウが開き、フルサイズのものを見ることができる。
自分のイラストに限り、この画面でEmbed状況の確認・任意のコメントの削除・タグのロック・タグの削除履歴消去などの操作も行える。 タグpixivには「イラストのタグ」「パーソナルタグ」「ブックマークグループ(事実上の個人用イラストタグ)」など数種類のタグがあるが、一般に「タグ」と言えばイラストのタグを指す。 各イラストにその特徴を表すタグ[23]を10個まで付与できる。イラストの投稿者が付けたタグには「*」印が付き本人しか削除できないが、その他のタグは投稿者が意図的にロックしない限り閲覧者もある程度追加・編集できる[24]。タグの削除は履歴が残り復帰が可能で、投稿者はタグを追加したユーザー名を見ることもできる。不快なタグは「タグ報告」ボタンで事務局に報告でき、件数などに応じて削除が行われる[25]。 タグは検索上重要なだけでなく、イラスト真上の登録タグから最大10個の全く違うイラスト群にダイナミックに接続されることになり、閲覧者のみならず投稿した本人にも思いがけない発見と出会いをもたらす重要な機能となっている。
ブックマーク他の利用者のイラストを公開または非公開で自由に自分の「ブックマーク」に登録できる。ブックマークはグループを作成して分類でき(重複可能でタグに近い)、コメントも添えられる。公開ブックマークは相手の「イラストの管理」画面やタグ検索結果などに「○ users」としてリンク表示され、自分のプロフィールページにはサムネイルが投稿と並んで展示される。ブックマークの数に制限はない。表示はブックマークの登録時間順。 これらの特徴のため公開ブックマークは利用者同士が作品をリスペクトし合う手段として、また絵を描かない人を含む利用者がイラストの好みを通じて自分を表現する手段として広く活用されている。 ブックマークは収集した人の好みが強く反映されるので、タグやプロフィールを経由して複数のブックマークを渡り歩くのは自分好みのイラストと描き手を次々と見付ける最も効率の良い方法の一つとなっている。 お気に入りユーザー他の利用者を公開または非公開で「お気に入りユーザー」に登録できる。登録した利用者の投稿はトップページの「お気に入りユーザー新着イラスト」に表示されるようになる。公開お気に入りユーザーは「あなたを登録しているユーザー」[28]として相手に通知され、互いにお気に入りユーザーに入れ合った状態になるとハートマークが付く。一覧表示はお気に入りユーザーへの追加時間順。 お気に入りユーザー新着イラストの実用性が高い一方でイラストのブックマークと異なりプロフィールでの扱いは小さく、他の利用者が「あなたを登録しているユーザー」を見ることもできない。他方でハートマークの効果もあり、公開お気に入りユーザーは相手への働きかけの意味が強い機能となっている。 マイピクMy pixivの略語で、pixiv内外での知人・友人を意味する。マイピク申請が受諾されマイピクになることで、互いの投稿がトップページに「マイピク新着イラスト」として表示されるようになる[29]ほか、投稿や掲示板などをマイピクのみに公開することができる。一覧表示は利用者のpixiv加入順。 マイピク限定でイラストを公開するとマイピク以外の利用者は見ることができないが、全てのマイピクの「マイピク新着イラスト」に表示されることになるので、連絡用のイラストを投稿すればマイピク全員とコミュニケーションを取る効率の良いルートとなる。 その他の機能
公式イベント幅広い利用者にイラストを通した楽しみや投稿のきっかけを提供するための公式イベントが事務局により随時開催されている。 季節イベントハロウィン・クリスマス・正月・七夕のような誰でも描いて参加しやすい季節のイベントは事務局が一定期間特設コーナーを設置し、通常の新着イラストとは別のイベント新着や独自ランキングが提供される。イベントへの参加は通常の投稿イラストに所定のタグを付けることで行い、特設コーナーでの展示の他は通常のイラストと扱いは全く変わらない[30]。 コラボレーション企画スポンサーがお題と賞品を提供し、pixivの公式イベントシステムを利用して行われるPRを兼ねたコラボレーション企画が開催されることがある。参加者や受賞者には液晶タブレットのような比較的高価な賞品やお題にちなんだ特典などが授与される一方で、事務局の収入源の一つにもなっている[6]。 Doodle 4 pixiv独自または既存の任意の記念日にちなんだpixivのロゴマークをデザインし「Doodle4pixiv」のタグを付けて投稿するとその日1日だけ正式にそのロゴが採用されることがある。「Doodle 4 pixiv」は「pixivのロゴに悪戯描き」といった意味で、元はGoogleで行われていたコンペティション企画「Doodle 4 Google」をpixiv風にアレンジしたもの[31]。 コミックマーケット情報サークルカットなどをイラストとして投稿しコミックマーケット情報確認ページからサークル情報を入力して関連付けすることで特設ページに情報が掲示され検索や地図などで探せるようになるほか、プロフィール・自分のイラスト画面・登録したタグのページなどにもコミックマーケット参加情報が表示されるようになる[32]。 タグによる交流文化複数付けられ簡単に検索できイラストをダイナミックに接続するタグの特性を活かした、イラストを通しての利用者間の交流が自然発生してpixiv独自の文化的特徴を形成している。 ユーザー企画先述のようにオーソドックスな季節のイベントなどは事務局がセットアップするが、それ以外にもタグを利用した利用者発の企画やイベントが活発に開催されている[33]。 ユーザー企画は非公式のイベントであるため正式な立ち上げ・参加方法は存在しない[34]が、慣習としては次のように行われる。 企画を始める者は企画を表す識別用のタグ[35]を決め、企画の内容や参加方法などを説明するイラストにそのタグ及び「企画目録」「企画主」タグを付けて投稿する。この「企画目録」は利用者が企画を一望するための1企画1枚のタグ、「企画主」は企画の主催者が企画に関する広報を行うイラスト全てに付けるタグである。 他の利用者は「企画目録」タグを検索して好きな企画を探し、識別用のタグを付けてイラストを投稿することで企画に参加する。企画主が参加作をまとめて一枚のイラストにする合作企画や、前の人のイラストを引き継いで次を描くリレー企画などでは参加前の立候補が必要な場合もある。 タグの柔軟性を活かし、1枚のイラストで複数の企画に参加しクロスオーバーさせたり[36]、企画の内部でさらにタグを派生させて新たな流れを作ったり[37]して可能性を広げることも行われている。 ユーザー企画は「企画目録」タグで簡単に探せ、識別用タグを用いて参加作品を一覧できるほか人気の出た企画は識別用のタグが「注目のタグ」に出現することで一挙に全pixiv的な規模に拡大し数千枚もの投稿が集まることも珍しくない。当初は企画として意図されていなかったものが自然発生的に流行して結果として企画の形を取ることもある[38]。 pixiv自体はまとまった文章などを置く場所を設けていないので、手の込んだ企画や参加者の多くなった企画などでは外部にウィキなどを借りEmbed機能などとも連携して企画の統括・案内用のスペースとすることも多い。 ユーザー企画の公式化ユーザー企画が事務局に取り上げられ、公式イベント化もしくは公式イベントと共催になることがある。公式化されると季節イベントなどと同様の会場などが用意され、賞品も提供される場合がある[39]。 「描いてもいいのよ」オリジナルキャラクターに「描いてもいいのよ」というタグを付けることで、そのキャラクターを他の利用者に描いてもらうことができる[40]。このタグのイラストを描いた時には「描いてみた」というタグを付けるのが慣習。 先述のユーザー企画では企画内独自の「描いてもいいのよ」タグ[41]を設定したり、あるいは参加作品は全て「描いてもいいのよ」であると宣言したりすることで一層の交流を図ることも多い。 同様にして線画を他の利用者に塗ってもらう「塗ってもいいのよ」「塗ってみた」、素材を提供する「使ってもいいのよ」など多くの「〜いいのよ」型タグが派生し多様な形でイラストにイラストで返す交流スタイルを実現している[42]。先述のイメージレスポンス機能はこうしたイラストの関係性を可視化するものである。 タグの共同編集タグは自由度が高い反面、投稿者が自分のイラストに適切なタグを十分に付与できず閲覧困難なイラストになってしまう場合も多いがそうしたイラストにはそれに相応わしいタグが他の利用者により多角的な視点から追加・整備されるという現象が広く見られ、新規加入者や外国人利用者の定着にも一役買っている。 当初は普及していなかったタグ=分類法が追加タグによって「発明」・整備され、それが他の利用者に受け入れられ広まって行くことで閲覧の利便性が高められる[43]のみならず、機能としては提供されていないコミュニケーション経路までもが形成される[44]フォークソノミー現象も観察される。 周辺サービス群pixivがイラストの投稿・閲覧を通してのコミュニケーションに完全に特化している一方で、pixivの外部にpixivのアカウントで利用できる絵描きのニーズに合わせた付加的なサービス群を構築して補完する構想がある。現在は下述のdrawrのみだが、今後ブログサービスなどの開設が予定されている[6]。 drawrdrawr(ドロワー)はブラウザ上で動作するお絵描き掲示板のようなFlash製の描画ツールで落書きしてコミュニケートするWebサービスである。 ツールは誰にでも扱えるがあまり凝ったことはできない線を引くだけの極めて単純なもの[45]で、CGの経験のない人でも楽しめることを念頭に作られている[6]。他の人の描画過程をアニメーション再生して描き方を学ぶこともできる。 投稿のシステムはpixivと似ているが閲覧数・評価・文字によるコメント・キャプションなどはなく、タグやユーザー検索も存在しないシンプルな作りである。投稿された絵に対してまた絵を描いてコメントしたり他の人の絵に上書きして再投稿(リポスト)したりして落書きに落書きで応答でき、トップページの表示の通り「暇つぶし」に気軽に描いて遊ぶ息抜きの場所となっている。 drawrへの投稿やお気に入りなどの利用にはpixivと同一のアカウントを使用するが、純粋に閲覧するだけなら登録やログインの必要はない。投稿を反映するブログパーツ・原画像のEmbed(ブログなどへの埋め込み)・RSS配信なども提供されており、総じてpixivよりも開放的な設計である。pixivとの連携も予定されているが未実装。 脚注
関連項目
外部リンク
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