10ギガビットイーサネット

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10ギガビット・イーサネット(10 gigabit Ethernet、10G Ethernet、10GbE、10 GigE) はコンピュータ・システム同士を結ぶ通信規格のひとつ。2007年10月現在ではイーサネットの中では最新で最速の規格である。今後、LANWANMANに用いられるネットワークプロトコルの有力候補のひとつである。

10ギガビット・イーサネットのインタフェースを持つルータ
10ギガビット・イーサネットのインタフェースを持つルータ

目次

概要

名称のとおり、物理層では最大10Gbpsの伝送速度を持つイーサネットの規格である。IEEE 802.3-2005の規格が定められたものには、光ファイバー・ケーブルを使ったものとInfiniBandのように銅ケーブルを使ったものの2つがある。また、IEEE 802.3anによる規格としてツイストペアケーブルを使った10ギガビット・イーサネットがある。

10ギガビット・イーサネットでは半二重通信とリピーター機構、そしてそれに伴うCSMA/CDをあきらめ、既に1ギガビット・イーサネットで使い慣れたLANスイッチの全二重 による便利なリンク機構を使う。

10ギガビット・イーサネットはいくつかの物理層の規格を含んでいる。デバイスのそれぞれの物理ポートは異なるLANやWANの物理層規格をサポートする多くのモジュールをサポートできる。

銅ケーブル

10GBASE-T

10GBASE-Tは、IEEE 802.3an-2006規格で定められた通常のアンシールデッド、またはシールデッドのツイストペアケーブルによって最大100mまで10Gbpsの速度で接続する新しいイーサネット規格である。[1]2007年の段階では、実際の製品はほとんど姿を見せてはいないが、2008年に10GBASE-T スイッチングハブ用の新しい半導体が現れれば1ポート当り約500米ドル以下で購入可能となると思われる。

コネクタ

10GBASE-Tでは、従来規格のイーサネットで広く普及した650MHz対応のIEC 60603-7コネクタ RJ-45を使用するが、銅ケーブルと同様にコネクタにもシールドが施されている。

ケーブル

10GBASE-Tは今あるカテゴリー6(周波数特性:500MHz)のケーブルを使って最大で55mの接続が可能である。 一般的な用途に必要な100mの接続を可能とするためにケーブルの新しい規格である「カテゴリー6a」(Augmented Category 6)を使用する。このケーブルはUTPケーブル間でのクロストークを減少させるように設計されるものである。

左からF/UTP、U/FTP、F/FTPの順にノイズに強くなる。白い部分がシールドである。
左からF/UTP、U/FTP、F/FTPの順にノイズに強くなる。白い部分がシールドである。

全体シールド

  • U:非シールド
  • F:ホイル・シールド
  • S:網組シールド

要素シールド(内部の対ごと)

  • UTP:非シールデッド・ツイスト・ペア
  • FTP:ホイル・シールデッド・ツイスト・ペア


主にワイヤの径の違いで周波数の特性が決まるため、次のようにカテゴリ7(周波数特性:600MHz)以上の1,200MHzのケーブルも販売されている。

  • 0.55mm:650MHz
  • 0.58mm:900MHz
  • 0.64mm:1,200MHz

シールド・ケーブルは正しくアースをとらないと、静電気などによって逆にノイズの発生源になってしまうことがあるため、将来の10Gイーサネットに備えてケーブルだけカテゴリ7などにして、カテゴリ5や6相当の配線シールドに配慮しないネットワーク機器を接続すると、十分な性能が発揮できず、場合によっては動作が不安定になることが考えられる。

LANケーブル内ではよりをかけることによってノイズの侵入を最小限にしているが、ケーブル両端のコネクタに接続する部分ではどうしてもよりが解かれてしまう。ある日本のケーブル・メーカーではカテゴリ5のよりが解かれる長さは12mmであり、カテゴリ7では3mmまで短くしているという[2]

ACR
減衰対クロストーク比(ACR)とは情報工学でのS/N比に相当し、ケーブルの性能を表わす。NEXTと呼ばれる近端漏話と減衰で構成される。-dBで表わす。

変調

IEEE 802.3anは、10GBASE-T用として、パルス振幅変調(pulse-amplitude modulation、PAM)のトムリソン-ハラシマプリコーデッド(Tomlinson-Harashima Precoded 、THP)版のワイヤレベルでの変調を規定している。それは、16値のPAMであり、DSQ128として知られる2次元チェッカーパターンによるエンコードである。PAN-12やPAM-10、PAM-8等の、それぞれにTHP付く場合と付かない場合での、いくつかの提案がワイヤレベルでの変調に関して考慮された。PAM-5は1つ前の世代の規格である1000BASE-Tで使われている。

10GBASE-CX4

10GBASE-CX4は片方向で4本、両方向で8本の伝送路を持ちそれぞれの伝送路で2本の銅電線を使用するため、合計16本の銅電線よりなるケーブルを使用する比較的短距離用の10Gビット・イーサネット接続の規格である。IEEE 802.3akで規格が定められ、Infinibandによく似た技術を使用している。

最長15m(49フィート)までしか伸ばせないが、10Gビット・イーサネットとしては最もポート単価が安い。10Gビット・イーサネットのモジュールに使用される通信半導体デバイスは、マルチ・ソース・アグリーメント(MSA)に従ってそのデバイスから外部コネクタまでの接続が行なわれる。XENPAK、X2、XPAKのコネクタは標準のMSAピン配列に合わせてある。CX4モジュールは少なくともXENPAKとX2にはそろえてあり、XPAKにもおそらくある。これと同じサイズに作るのはより難しい。銅線で出来た各伝送路は3.125ギガボー(Gbaud)の通信容量を持つ。 802.3aeの48節のプロトコルが4本のデータ転送の管理し同期をとる。この機能はPCS(Physical Coding Sublayer)で処理される。49節でのプロトコルを使用する10GBASE-Rと比べると48節で使う8-10ビット変換ではより信号に余裕がある。一方、49節では64-66ビットの変換のため、48節に比べて余裕が無くより狭くなっている。


光ファイバー・ケーブル

光トランシーバーはホストデバイス同士を、IEEE 802.3規格の48節の4チャンネル・パラレライズド・ブリッジ、又は49節によるブリッジを結ぶ。「XENPAK」「X2」「XPAK」は48節改を、「XFP」は48節そのものを使う。

使用する光ファイバーは、大きく分けて2種類ある。主に距離や速度で使い分けられている。

  • SMF シングル・モード・ファイバーは伝送距離が長いが高価である。
  • MMF マルチ・モード・ファイバーは伝送距離が短いが安価である。

光ファイバを使用したイーサネットでも、物理的な信号に光を使うだけで、伝送するMACフレームは銅ケーブルのイーサネットと変わらない[3]

物理層

ルーターとスイッチを直接結ぶ、最も一般的な光ファイバーの種類はレイヤー1の「物理層」で規定されている。物理層では回線速度が10.3125Gbit/sで符号化方式は64B/66Bエンコーディングが使われる。ただし10GBASE-SW、10GBASE-LW、10GBASE-EWはSDH/SONETの符号化方式を使う[3]

光ファイバーによる各規格

10GBASE-SR
10GBASE-SR(Short Range)はマルチモード光ファイバーを使って短距離をサポートするよう設計され、その限界距離はケーブルによって26mから82mである。また300mの使用が可能な新しい50μm 2,000MHz·km、850nmのマルチモード光ファイバーがある。
10GBASE-LRM
10GBASE-LRMは2006年に承認された802.3aqで標準化された。[4]これは、FDDIと100BASE-FXネットワーク用に1990年台初頭にインストールされたFDDI級の62.5µm マルチモード光ファイバーで最長220mをサポートする。
10GBASE-LR
10GBASE-LR(Long Range)は波長1,310nmの光源を使い、最大10kmのシングルモード光ファイバーをサポートする 10ギガビット・イーサネットである。IEEE 802.3 49節の64B-66B フィジカル・コーディング・サブレイヤー(Physical Coding Sublayer、PCS)を使用し、シリアル伝送を行う。
10GBASE-ER
10GBASE-ER(Extended Range)は、1,550nmを使ってシングルモード光ファイバーで最大40kmまでサポートする。


10Gビット・イーサネットの主要な規格(光ファイバー)
規格名 10GBASE-SR 10GBASE-LR 10GBASE-ER
光ファイバ形式 MMF
コア径
62.5μm
MMF
コア径
50μm
新型MMF
コア径
50μm
SMF SMF
最大伝送距離 26m/33m 66m/82m 300m 10km 30km/40km
波長 840~860nm 840~860nm 840~860nm 1,260~1,355nm  1,530~1,565nm
符号化方式 64B/66B 64B/66B 64B/66B 64B/66B 64B/66B

[3]

その他

日本での使用例

IXの例
日本インターネットエクスチェンジ(JPIX)では都内5ヶ所の拠点間が40km以内であるため、それぞれに置かれたスイッチの間を10GBASE-ERで直接つないでいる。10km以内のところは10GBASE-LRでつないでいる。最大4リンクのリンク・アグリゲーションも使っている。
NECビッグローブの例
東京近郊のデータセンター間を10Gビット・イーサネットでつないでいる。距離が40km以上になる区間には、光信号を中継延長する光伝送装置を置いている[3]
映像制作環境の例
2007年初頭段階で、都内のCGなどの映像制作会社では、単純な社内LANとして10Gビット・イーサネットの運用が既に始まっている。コンポジット作業用途のクライアントPCなど、高速なディスクアクセス要求の強い場面で、10GBASE-CX4のNICをデザイナー等が使用するWindowsXPなどの一般的なPCに直接装着し、10Gビット・イーサネット対応のNAS等と10GBASE-CX4の安価なスイッチ経由での運用がされている。本来この分野は、F/C接続のSANなどの守備範囲であったが、F/Cに比べて安価な点が魅力となっている。イーサネットであるがため、F/Cに劣る部分もあるようだが、ローカルのハードディスクドライブの代わりとして高速なストレージサーバをマウントすることで、共同作業者間でのTB単位の大容量データの共有、データ集約、データ保護、などが簡単に行えるため、業務の効率化を安価に実現できる簡易な方法として、広まりつつある。映像業界という、特殊な要求の強い分野ならではと言えよう。

次期規格

2007年10月現在、次の高速イーサネット規格である「100ギガビット・イーサネット」がIEEE内のHigh Speed Study Groupで規格の策定作業を進めている。規格名は「IEEE 802.3ba」となる予定[3]

関連項目

出典と注記

  1. ^ IEEE Standards Status Report for 802.3an.
  2. ^ 日経NETWORK 2007年4月号 「10ギガイーサLANケーブル」 p84
  3. ^ a b c d e 日経NETWORK 2007年10月号 「"今どき"のイーサネット プロバイダとIX」 p34-p35
  4. ^ IEEE Standards Status Report for 802.3aq.

外部リンク

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