電子マネー

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電子マネー(でんしマネー、英称electronic money)とは、情報通信技術を活用した新たな決済サービスである。

目次

概要

電子マネーは、貨幣経済が実質的に貨幣という物品によってやり取りされていた所を、電子的なデータ(および通信データ通信)によって決算する手法である。その意味では電子的な電信で実質市場経済が動いている状態も一種の貨幣の電子マネー化といえるが、一般に電子マネーという場合は、この決済手段を末端の小売レベルにまで推し進めた状態を指す。

なお電子マネーは、日本銀行券など国家が発行しその価値を保証する経済学上の「通貨」ではなく、サービスを提供する会社による私製貨幣(代用通貨など)の一種である。このことから、日本では法的に金券プリペイドカード等と同様に、前払式証票法の影響を受ける。これらは利用者(消費者)にとってはあたかも通貨のように機能するが、実質的には通貨によって先払いされた金銭価値(単位)をデータ化したりして、決済の段階で金銭単位のデータをやり取りし、このやり取りされた金銭単位に応じて、予め先払いされ蓄えられた通貨から対価が支払われるのである。

余禄となるが、このような仕組みのため、電子マネーは銀行に預けた通貨とは違い、発行企業が倒産した場合には、その価値を完全に失う危険性も存在する。

電子マネーには幾つかの方法があるが、銀行ないし金融機関小売店をオンラインで接続する方法から、金銭価値を電子化(情報機器記憶媒体に置き換えること)してICカードなどに収納しオフラインで利用する方法、コンピュータネットワーク間取引だけで利用する方法など様々なものがある。

ただ、2000年代現在に至るまでは様々な方式が平行進化の形で利用されており、各々の方式には互換性が乏しく、紙幣硬貨といった貨幣に完全に取って代わるに至っていない。その一端には、貨幣のデータにおけるセキュリティ上の問題から、データなどの互換性向上には消極的であることも考えられる。

しかし電子マネーの発達によって、従来は紙幣や貨幣、あるいは各種クレジットカードプリペイドカードキャッシュカードといった様々な物品を一元管理して、携帯性が向上することが期待されているほか、決済の迅速化・確実性の向上も期待されている。他にも認証手段の導入により、紛失時の経済的損失の防止や個人認証手段としての利用、または既存のクレジットカードが持つ社会信用度(クレジット)証明手段など、様々な利便性も指摘される。

技術

「様々な店舗で利用できる」ような汎用性の高い電子マネーを発行する事業者となるには、小売店にまで行き届いたインフラの構築が必要となる。情報を記録するサーバや利用者が支払いに利用するインターフェースの普及などへの膨大な設備投資が必要で、これら決済システムの導入が普及の前提となるため、参入のハードルは高い。

電子マネーの実体は単純な電子的な媒体に記録された情報(→電子媒体)でしかないため、特に「貨幣との置き換えを目指す電子マネーでは磁気カードと比較して偽造難易度が高く複製や悪用の防止技術を組み込みやすいICカードが採用される傾向が見られる。こと非接触ICカードと移動通信体(携帯型の通信機器)を組み合わせることで決済やチャージ(銀行口座から電子マネーに金銭を振り分けること)する点などでも利便性がよく、携帯電話端末に内蔵されたサービスも見られる。 日本ではソニーによるFeliCa技術を採用する電子マネーも一般に広く利用されている。ただこれら電子媒体のデータを抜き取って複製・悪用するスキミングの懸念は拭えないなどの課題もあり、被害を防ぐ側と金銭データを狙う側はいたちごっこの関係にある。

その一方、インターネット上にある電子商店街オンラインゲームの支払いなど、インターネット上でのみのサービスを目的とした仮想マネーと呼ばれるものでは、認証手段の導入・運用などセキュリティ技術的な課題はあるものの、実体のあるインターフェイスの普及などは必要なく、要は決済データを管理し利用者の財布となる出納用のサーバ運営や認証手段があればサービスの提供が可能であるため、貨幣との置き換えを目指す電子マネーほど普及のハードルは高くなく、金銭の徴収手段といった点での仕組み作りが普及の鍵となる。このためコンビニエンスストアで使い捨ての形となるパスワードの記載された(印刷媒体に過ぎない)カードを販売するサービスも登場している。ただ、こちらは2006年6月にネットキャッシュでこのパスワードを辞書攻撃的に類推され、残額データが一部店舗からの販売前にも盗まれる[1]などの事件もおきており、それら不正アクセスなどトラブルの防止が課題となっている。こちらはフィッシング詐欺ファーミングといった事件でも狙われやすい傾向も見られる。

背景

従来から、銀行振り込みやクレジットカードによる決済システムはオンライン化が進められてきており、電子的な決済手段というものがなかったわけではない。しかし、1980年代前半に構想があり、1990年代後半から一般消費者でも利用できるようになってきた電子マネーは、これらとは異なり、インターネット経由の決済に特化したもの、またICカードなどの技術により従来の決済方法の欠点を解消して利便性を高めたものを指す。

従来の決済手段としては、

  • クレジットカードは小売店で使用できるものの、百貨店や大型スーパーなど一部に限られ、使用時に署名も必要であるなど煩雑だった。また、インターネットショッピングではカード番号をネットワーク越しに販売業者に渡す必要があり、盗聴されたり販売業者によって不正使用されたりする危険性がある。
  • 振り込みは、口座番号のみで不正使用される恐れは少ないものの、小売店では使用できない上、売買の際に振り込み確認の段階が必要でより煩雑。

などの欠点があった。

仮想マネーとしての電子マネー

ネット通販での仮想マネー的な決済方法手段として1990年代後半より導入がみられた。手軽さやプラットホームを問わない融通性の面で都合が良く、2008年現在もインターネット上で電子マネー決済の主流は、これら仮想マネーサービスである。

主なものとしてBitCashビットキャッシュ株式会社)、WebMoneyウェブマネー株式会社)など。

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非接触型決済による電子マネー

2000年代前半よりICカード、特に非接触型のICカード技術を用いた決済手段が新登場し、2000年代後半から流通し始めている。これも(新たな種類の)電子マネーと呼ばれるようになっている。

具体的には、ICカードを利用して暗号技術を駆使することで、貨幣価値の捏造・偽造、複製、窃盗を防止している。決済手段としては非接触型決済の分類に入る。

これらは、従来の決済手段の欠点を解消して利便性を高めたもの、ネット上でも日常でも硬貨入れ代わりに使用できるような決済手段、すなわち貨幣価値の移動を消費者側から提供者側へ「その場で」「簡便な操作で」「電子的」完結することを目指したものである。

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実装例

日本

ICチップ型

日本では非接触型ICチップ通信技術Felicaを採用したものが多い。 FeliCaを使用していることから物理的な互換性はあるが、システムの互換性は図られていない事が多い。 また、PidelのようにISO/IEC 14443に準拠したものを採用するものもある。

仮想マネー

香港・韓国・米国・英国

ICカード型

注…()内は電子マネーサービスの提供会社


普及状況

主な前払い式電子マネーの利用状況
発行枚数 月間利用件数 利用可能店舗数
Edy 4,250万枚 2,400万件 7万9,000店
Suica 2,319万枚 2,373万件[2] 5万2,650店
PASMO 1,001万枚 794万件 4万6,500店[3]
nanaco 624万枚 3,000万件 2万0,370店
WAON 560万枚 920万件[4] 2万6,000店
ICOCA 388万枚 80万件 4万6,510店

SuicaとPASMO、SuicaとICOCAの電子マネーはそれぞれ相互利用が可能である(PASMO・ICOCAの相互利用はできない)。また、WAON導入店舗の一部では、SuicaもしくはICOCAも共通端末により導入されており、中部以東のSuica導入店舗ではSuica・PASMO・ICOCAが、近畿以西のICOCA導入店舗ではICOCA・Suicaも利用できる。

主な後払い式電子マネーの利用状況
発行枚数 月間利用件数 利用可能端末数
iD 328万枚 非公表 17万台
QUICPay 225万枚 非公表 5万5,000台
Smartplus 22万枚 非公表 1万5,000台
PiTaPa 76万枚 非公表 1万5,000店超
  • 2007年6月末時点。QUICPayは5月末現在。利用可能端末数は、PiTaPaのみ利用可能店舗数。
  • 出典:日本経済新聞 2007年7月17日付

脚注

  1. ^ 不正アクセスによる「ネットキャッシュID」の流出に関するお詫びとお客様へのお願い
  2. ^ 西日本鉄道nimoca」を含む(日経流通新聞2008年9月24日付より)。
  3. ^ 2008年4月まではSuicaと共通だった。
  4. ^ 2008年3月までは未公表だった。

参考文献

  • David Chaum, "Blind Signatures for Untraceable Payments", Advances in Cryptology: Proceedings of CRYPTO '82, pp.199-203, 1982.

関連項目

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