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銀行(ぎんこう、Bank)とは、預金の受入、資金の移動(決済)や貸出(融資)、手形・小切手の発行などを行う金融機関である。
業務を行うにあたっては、信用が重要な位置をしめる。そのため、経営が悪くなっても活動を続けることが出来る他の産業とは根本的に異なり、経営が悪くなれば信用がなくなり、あっという間に破綻する。端的に言えば
- 「銀行の経営は信用があって成り立つか、融資する価値がないと判断されて成り立たなくなるかのどちらかだ」(モルガン・スタンレー、ローレンス・マットキン)[1]より引用
ということになる。
ここでは、主に日本の銀行法に基づく銀行について、記載する。
銀行の起源
現在のような形態の銀行が誕生したのは、中世末期のイギリスにおいてである。
当時、主要な決済手段は金であった。貨幣経済の興隆に伴い商業取引が増大し、多額の金を抱える者が出てきた。金を手元に抱え込むリスクを懸念した金所有者は、ロンドンでも一番頑丈な金庫を持つとされた金細工商・ゴールドスミスに金を預けることにした。ゴールドスミスは金を預かる際に、預り証を金所有者に渡した。
しばらくして、ゴールドスミスは自分に預けられている金が常に一定量を下回らないことに気付いた。これは、支払いに用いられた金を、受け取った業者がすぐに預けに来ることが原因であった。また、中にはキリのいい単位で金を預け、その預り証をそのまま取引に用いる金所有者も現れた。
ゴールドスミスは、預けられた金を運用しても預金支払い不能にならないことを知り、貸し出し運用を開始した。これが銀行の始まりであり、この過程で生まれた預り証が、現代の紙幣の起源である。紙幣(預り証)は金の預金証書であり、価値の裏づけがなされているから価値を持つことが出来た(金本位制も参照)。
また、貸し出した金も再び預け入れられ再度貸し出しに回ることにより、預り証が大量発行され、貨幣経済成長の原動力となった。このように、預り証を保証する金よりも、預り証の量が多くなることを信用創造と呼び、現代の銀行においても重要な機能である。
やがてイギリス全土に同業者が現れ、それぞれが独自の預り証を発行するようになり、多種多様な紙幣が現れた。しかし、それぞれの紙幣が業者の信用力に依存することになったため、やがて預り証を発行する権限を持つ銀行が統合され、中央銀行となった。それ以外の銀行は、預り証を預かる商業銀行として発展することになる。
増加した貨幣(預り証)の価値を保証しているのは、借手の返済力である。このため、借手の経営が危機に陥ると貨幣も信用を喪失した(金融危機)。そのため19世紀から今日まで、金融危機に端を発する恐慌が頻発している(1927年の日本における昭和金融恐慌など)。
日本では江戸時代に、「両替商」と言う銀行に近い商売があった。初の商業銀行は、明治維新後に誕生した第一国立銀行(第一勧業銀行を経て、現在のみずほ銀行)となっている。これは日本初の株式会社(解釈により異なる場合があるが)でもあった。なお、銀行という言葉は中国語に由来しており、行は会社・企業を意味する。現在、日本の企業で、会社を意味する行を使っているのは銀行と洋行(貿易会社)だけであると言われている。また、現在、中国でも行を使う会社は少なくなってきている。(公司などを使用する)
日本の銀行
日本においては、広義には主に中央銀行や銀行法に基づく銀行(いわゆる普通銀行)、信託銀行、個別の法律により設立された銀行(商号に「銀行」とついているもの)を、狭義には銀行法に基づく銀行(いわゆる普通銀行)を指す。
業務の範囲
銀行は次の業務を営む。
- 預金(普通預金・定期預金等)又は定期積金等の受入れ
- 資金の貸付け又は手形の割引
- 内国為替取引(送金・振込等)
- 外国為替取引
- 債務の保証又は手形の引受け
- 有価証券の売買、有価証券店頭デリバティブ取引、有価証券指数等先物取引、有価証券オプション取引又は外国市場証券先物取引
- 有価証券の貸付け
- 国債、地方債若しくは政府保証債の引受け又は当該引受けに係る国債等の募集の取扱い
- 金銭債権の取得又は譲渡
- 特定目的会社が発行する特定社債等の引受け又は当該引受けに係る特定社債等の募集の取扱い
- 短期社債等の取得又は譲渡
- 有価証券の私募の取扱い
- 地方債又は社債その他の債券の募集又は管理の受託
- 銀行その他金融業を行う者の業務の代理
- 国、地方公共団体、会社等の金銭の収納その他金銭に係る事務の取扱い
- 有価証券、貴金属その他の物品の保護預り(貸出金庫)
- 両替
- 取引所金融先物取引等
- 金融先物取引の受託等
- 金融等デリバティブ取引(金利、通貨の価格、商品の価格その他の指標の数値としてあらかじめ当事者間で約定された数値と将来の一定の時期における現実の当該指標の数値の差に基づいて算出される金銭の授受を約する取引又はこれに類似する取引)
- 金融等デリバティブ取引の媒介、取次ぎ又は代理
- 有価証券店頭デリバティブ取引
- 有価証券店頭デリバティブ取引の媒介、取次ぎ又は代理
銀行の区分
日本においては、慣習的に次の様に区分される。一般に「銀行」という場合、銀行法に基づく銀行(いわゆる普通銀行)を指す。銀行法第6条により、(銀行法に定める)銀行は「銀行」を名称につけることが義務付けられており、銀行でないものは、「銀行」を名称につけることが禁止されているからである。中央銀行や政府系金融機関も、銀行法ではなく個別の法律により、その設立が規定されている(日本銀行法など)。
かつて存在した形態の銀行
- 国立銀行 → 明治時代初期に国立銀行条例に基づき設置、経営は民間で行われていたが政府に代わって紙幣発行などの公的業務も行う。日本銀行設立後、普通銀行に転換
- 貯蓄銀行 → 普通銀行に転換
- 相互銀行 → 普通銀行に転換(早期に転換し、都市銀行(日本相互→太陽)又は地方銀行(西日本相互→西日本、弘前相互→青和と合併しみちのく)となった一部を除き第二地方銀行協会を構成)
- 外国為替専門銀行 - 東京(現三菱東京UFJ。外国為替銀行法に基づく唯一の銀行として営業していたが、三菱銀行との合併に伴い消滅)
- 長期信用銀行 - 日本興業(現みずほ、みずほコーポレート)、日本長期信用(現新生)、日本債券信用(現あおぞら)(長期信用銀行法に基づく銀行として営業。2006年4月までに全て普通銀行に転換または普銀に合併)
銀行と協同組織金融機関
日本では、法律に基づかない預金の受入れは出資法第2条で禁止されているが、銀行以外に信用金庫・信用協同組合・農業協同組合・漁業協同組合・労働金庫など、特別法により預貯金の受入れを業とする金融機関(協同組織金融機関)が存在する。商業銀行も営利会社といえど、金融の高い公共性を担う存在として銀行法はじめ様々な法令の規制下におかれる。
協同組織金融機関は、一般に利用者(組合員・会員)自身の出資に拠って存立し、営利でない組合員奉仕という公共的な事業目的を達成する観点から、業務の地域や取引相手が、限定されるとともに、公共性にかんがみ、営利組織である銀行よりも有利な税制、商品性を認められている。特に出資については、株式会社と異なり、協同組合原則(ロッチデール原則)により、組合員・会員(総代)の議決権は、出資額にかかわらず、一人一票であり、株式会社のような大資本による買占めはできず、利用者の意思を反映した民主的で安定的な経営が出来る仕組みとなっている。
協同組織金融機関の業容が拡大する中、取引先中小企業の業容もまた大企業へと進展する事例も多く、1991年に東京都の旧・八千代信用金庫が転換した八千代銀行は、このような出資・預金・貸付に関する制限は業務(取引継続)の制約となるととらえ、銀行への改組を図った。しかし、その後は銀行に転換しようという協同組織金融機関は現れていない。
銀行が小規模な(または親密先の)協同組織金融機関の手形交換、外国為替業務などを受託することも多い。
銀行代理店
銀行の業務の一部を、アウトソーシングなどによって任せられ、サービスを提供する銀行以外の企業のこと。
日本では銀行法により定められており、預金の預入やローンの取り扱いを、銀行以外の個人や企業が行うことができる。当初は銀行の100%子会社であることなど条件が厳しかったが、何度か規制緩和が行われ、2006年4月施行の改正では参入条件が大幅に緩和された。
尚、立地としては郊外部や農村部に立地する場合が多く、取扱い業務の内容は一般の有人出張所に準ずることが多く一部の銀行では、有人出張所に変更していてかつてよりむしろ減少している(当然、店舗統廃合によって廃止されたケースもある)。
日本の銀行の休業日
日本の銀行は、原則として日曜日、土曜日、国民の祝日、12月31日から翌年の1月3日までの日を休業日としている(銀行法第15条第1項、銀行法施行令第5条)。ただし、住宅ローンなどを扱うローンセンターのような部門では、土曜や日曜に営業する店舗もある。
かつては土曜日は午前中のみ営業していたが、1983年頃に第2土曜日が休業となり、1988年頃に全土曜日が休業となった。現金自動預け払い機(ATM)については、この流れで土曜日の14時までは自行キャッシュカードでの利用には手数料を取らなかったが、土曜日にも手数料を取る銀行が増えている。逆に、(埼玉)りそな・近畿大阪(りそなグループ)のように、夜間や休業日の自行カード手数料を全廃した銀行もある。
日本の銀行の問題点
- 審査能力の問題
- 長年不動産(物的)や保証人(人的)担保に融資をするビジネススタイルをとっていたため、外資系銀行に比べて企業資産の審査能力が低いとされ、近年は、プロジェクト・ファイナンスやM&A等で、企業の生み出すキャッシュフローにて企業価値の判断やそのリスク管理を行う審査制度の確立を急いでいる。
- しかし、2007年から2008年にかけて、アメリカやヨーロッパの一流大手銀行が、軒並みサブプライムローン関連の証券化商品による巨額の損失を計上し、世界的な金融システム不安が発生する中で、「外国系銀行が審査能力が高い」とは、決して言えないことが露呈されている。
- また、中小企業融資に際して審査の迅速化を目的に、書類提出のみで手続きが完結するスコアリング判定ビジネスローン(以下BL)を多くの銀行が展開したが、一方で提出書類を偽造した詐欺事件が発生し、銀行員自身の目利き能力の低下にもつながりかねないという問題も指摘されている。定量評価のみの機械的な与信判断で融資量を拡大したBLは、結果として不良債権を増加させることになった(メガバンクが相次いでBLを導入したのは、中小企業向け融資を拡大しなければならない金融庁の意向が反映していた側面もあり、事実、一時期、金融庁はスコアリング融資を各金融機関に推奨していたがその後とり止めている)2007年現在、りそな、三菱東京UFJの各行が相次いで新規取り扱いを停止している。
- 利益率の問題
- 大半の邦銀は、利益原資の8~9割が預貸金利鞘であるが、この伝統的業務に依存するビジネスモデルでは利益率が低く(邦銀の純利益率は2005年現在、1%~0.4%と外銀に比べ非常に低い)、さらに、間接金融から直接金融の流れの中で、縮小傾向である。
- この為、一時期、三井住友銀行はプロミスに、三菱UFJフィナンシャル・グループはアコムといった様に、利益率の高いとされた消費者金融業(サラ金)に出資、グループ傘下にし、連結収益のかさ上げを図った。しかし、近年の出資法改正議論によるグレーゾーン金利撤廃の動きの中、2007年現在、相次いだ過払い金返還請求により、消費者金融業界はビジネスモデルの変更を余儀なくされている。
- また、外銀のように利益に占める役務収益(M&Aや金融商品販売の手数料)割合の増加に力を入れているものの、短期での利益を追求するため、優越的地位の濫用を行い、意味合いの異なる金融商品を矢継ぎ早に客や取引先に半ば強引に、または損失リスクを告げずに売りつけて不利益を被らせることが多々ある。最近では、2005年に三井住友銀行法人営業部は、中小企業に融資する際、金利スワップ商品の購入を強要したため、公正取引委員会から排除勧告を、金融庁からは一部業務停止命令を受けた。
- 国際マーケットでの存在感
- 失われた10年の間に、多くの銀行が海外から撤退・縮小し、日本では強みがあるが外国では振るわない「お山の大将」「井の中の蛙」のようになっている。近年、メガバンクは、アジア圏を中心に再進出を図っているが、セグメント収益に占める海外割合は依然2割前後と低い。例えば、HSBCの欧州・香港外地域からの収益の比率、シティグループの米国外地域からの収益の比率は、いずれもおよそ50%である。
- リレーションシップの問題
- 例えば、銀行員の人事異動サイクルは公務員同様、平均2~3年である。この短いサイクルの理由は、横領や経済犯罪(浮き貸しなど)を防ぐためである。しかし、バブル景気崩壊以降は、無理な融資や、十分な査定を行わなかったために不良債権となった融資などの責任の所在を不明瞭にするための隠れ蓑に利用される場合があるとされる。
- 耐震偽装問題における被害者の住宅ローン(※1)、保険会社が倒産した変額保険ローンやゴルフ場が倒産したゴルフ会員権ローン(※2)等の、返済が免責されない、などの問題がある。
- ※1 アメリカでは、住居が瑕疵等で不動産担保としての価値が無くなればローンが法的に免責になる。これは、アメリカの住宅ローン制度が、担保物件以上に債務が訴求しないノンリコースローンとして“ローンの返済をしなくても、家を返せば完済となる”2008年1月21日付J-CASTニュース(枝川二郎のマネーの虎-借りてはいけない住宅ローン)仕組であり、銀行自身もローンの価格変動リスクを負うためである。ただし、不動産取引においてその担保価値の品質保証としてエスクロー制度が利用され、また、住宅ローンはすぐに証券化されモーゲージブローカによって有価証券として取引される。ローン免責が可能な背景には、法制度の前提として、制度的にその品質管理能力とリスクの分散が図られている点に留意が必要である。日本の場合は、そもそも検査機関の能力が不十分であり、不動産証券化も途についたばかりである。さらに、法的にも免責される制度はない(例えば、通常の売買契約で、耐震偽装問題のように商品に瑕疵また契約に錯誤・無効・詐欺がると、買主は、民法571条により担保責任との同時履行を主張して代金の支払を拒める。しかし、割賦購入斡旋、この場合の住宅ローンでは、売買と立替払契約とが別々になされているため、買主の売主に対する抗弁、つまり支払拒否が銀行に対して主張しうるかという問題が生ずる。判例による結論から言えば、信義則違反、つまり銀行が売主と密接不可分な関係であったことを買主が証明しない限り、その支払義務は免責されない)。
- ※2 前述の住宅ローンと同様に免責がなされないが、これらは主にバブル期を中心に業者と銀行が一体となって販売を推進したため、より銀行の責任が大きいと言え、実際に各地でローン無効の訴訟が提起されている。
- CSRの問題
- また、2006年3月期決算は、各メガバンクともバブル期を上回る利益(もっとも、前年度の貸倒引当金戻入益の計上があるため、一時的な数字である)をあげた。朝日新聞は2006年11月26日付の社説で、預金者への利益還元のあり方、特に、手数料やサービスの是正が進んでいない、と主張した。一方、2006年より三菱東京UFJ銀行をはじめとする三菱UFJフィナンシャル・グループは、自行ATM及びコンビニATM(イーネット、ローソンATM、セブン銀行)での振込手数料の一部を無料化した(窓口振込、ATMでの現金による振込、三菱東京UFJダイレクト(有人対応分)による振込、他行あては対象外。ATM時間外手数料は所定の手数料がかかる)。また、同グループの三菱東京UFJ銀行は上記3社が運営するコンビニATMでのコンビニ利用手数料を2007年3月に全面的に廃止した。そして、同年のゼロ金利政策解除により、各銀行の普通預金金利は上昇した。
- なお、大手金融機関は失われた10年で相次いだ赤字決算の繰越控除が続いているため、2007年現在で法人税等を納付しているのは、住友信託銀行のみである。
外国の銀行
脚注
- ^ 「ベアー買収の動揺、欧州に波及 破綻の危機にある金融機関はいくつあるのか」『日経ビジネスオンライン』日経BP社、2008年3月27日付配信
関連項目
外部リンク
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