通信衛星

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通信衛星(つうしんえいせい、英語: communications satellite)は、マイクロ波帯の電波を用いた無線通信を目的として宇宙空間に打ち上げられた人工衛星である。CSやCOMSAT(コムサット)等と略される。

  • 通信衛星を用いた放送サービスの詳細については衛星放送を参照。

目次

概要

殆どの通信衛星は静止軌道(正式には地球同期軌道)または準静止軌道を用いるが、最近は低軌道中軌道衛星コンステレーションを用いた通信システムの例もある。また、ロシアでは、高緯度地域という地理的条件により、モルニア軌道の通信衛星を用いる例もある。軌道の特性についての説明は人工衛星の軌道を参照のこと。

通信衛星は光ケーブルを用いた海底ケーブルと相補的な技術を提供するものである。

歴史

通信衛星という概念は、アーサー・C・クラークが初めて提唱したものとされるが、Potocnik1928年の先行作品に基づくものである。 クラークは1945年、「ワイヤレス・ワールド」誌に「地球外の中継器」と題する記事を著した。この記事には、無線信号を中継するために人工衛星を静止軌道に配備する方法の基本原理が説明されていた。このため、一般に通信衛星の発明者として紹介されるのはアーサー・C・クラークになった。

クラーク達の発表当時は宇宙空間に人工衛星を運ぶ具体的な手段がなかったが、1957年スプートニクの誕生とともに実現性が検討されるようになってきた。当初は軌道上で安定に動作する中継機(トランスポンダ)の開発が困難であったため、受動型衛星エコー1号および2号の実験が行われた。この衛星はいわば金属皮膜をもつ風船であり、衛星を軌道上の反射板として用いるものである。利用する周波数を自由に選べ、また衛星は単純なので故障もしない長所があるが、地上からの送信(アップリンク)に大電力を要するという大きな欠点があった。

このため、衛星でいったんアップリンクされた信号を受信して電力増幅し、高利得のアンテナで地上に向けて送信する(ダウンリンク)能動型衛星の開発が行われた。

テルスター衛星は初めての能動型通信衛星である。ベル研究所で開発されたCバンドのトランスポンダを装備していた。この際のアップリンク6GHz帯、ダウンリンク4GHz帯という周波数の組み合わせはその後広く通信衛星で用いられるものとなった。 この衛星は1962年7月10日NASAによりケープカナベラル宇宙基地から、初の民間企業がスポンサーとなって打ち上げられた。テルスター衛星は2時間37分で周回する、軌道傾斜角45度の楕円軌道遠地点約5,600km、近地点約950km)に投入された。テルスターはAT&Tに所属するが、これはAT&T、ベル研究所、アメリカ航空宇宙局、英国郵政省、フランス郵政省間の、衛星通信技術を開発するための多国間合意によるものである。

その後、トランスポンダの数や帯域を増やし送信電力も高めたリレー1号衛星も1962年12月13日に打ち上げられた。このリレー1号を用いて1963年11月23日に行われていた初の日米間テレビ伝送実験中にジョン・F・ケネディ米国大統領の暗殺事件が発生し、その映像は当時のテレビ視聴者に強い印象を与えた。

最初の地球同期軌道に投入された通信衛星は1963年7月26日ソーデルタで打ち上げられたシンコム2号である。 しかし、シンコム2号は傾いた(すなわち軌道傾斜角がゼロでない)軌道になったため、これを捕らえるためには特別な追尾装置を必要とした。最初の真の静止通信衛星、すなわち固定した衛星通信アンテナで補足可能な通信衛星は、1964年8月19日に打ち上げられたシンコム3号である。これは国際間通信用であったが、広大な国土を持つ国では国内通信用の通信衛星が用いられるようになった。ソビエト連邦はモルニア衛星を使ったが、1973年に打ち上げられたカナダアニク1号は世界初の国内通信用の静止通信衛星であった。

1964年東京オリンピックにおいて日米間のテレビ画像伝送がシンコム3号を用いて実施され、通信衛星の有用性を広く世界の放送・通信関係者に印象付けることとなった。

同年、静止通信衛星による国際通信網を運営するための国際協同の組織インテルサットが日本や米国を含む18カ国で作られた。インテルサットは1965年にインテルサットI号シリーズの衛星を打ち上げて商用の国際衛星通信サービスと開始した。

低軌道衛星

低軌道衛星は軌道周期が1日よりかなり短い、低高度の衛星のことである。この種の衛星は地球上のどの地点からも、上を通過する短時間だけしか可視とならず、常に通信可能範囲にしたければ多数の衛星が必要になる。こうした一群の衛星を合わせて稼動させる場合、これらを衛星コンステレーション(星座から)と呼ぶ。

衛星コンステレーションの例として、GPS衛星や携帯電話サービス用の衛星電話(イリジウム等)がある。

衛星の種類

日本国内の通信衛星の種類については、衛星放送を参照の事。


衛星放送(放送衛星と通信衛星の違い)

放送通信は本来は異なるもので、旧来は一般大衆向けを放送、限定者(業者や企業などの認可団体)向けを通信として厳格に区別され、それに用いる人工衛星もそれぞれ専用に別のものが使用されてきた。 従って直接放送衛星(DBS)による放送(衛星放送/BS放送)は、特に放送用に設計された高出力な人工衛星を用いて行われ、家庭の小型DBS用アンテナに向けて直接送信するものである。放送衛星はKuバンドの周波数が高い方を用いることになっている。

1989年10月1日には放送法が改正され、それまでは特定の目的(企業や業者向けの番組・プログラムを送信)以外には禁止されていた通信衛星を利用した直接放送(CS放送)が可能になった。1996年にはCSデジタルプラットフォーム事業者「パーフェクTV!」(現スカイパーフェクTV!)がCSデジタル放送事業を開始している。

CS衛星放送関係略年表

関連項目

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