聴覚障害者

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聴覚障害者ちょうかくしょうがいしゃ)とは、耳が聞こえない人、または聴覚に障害をもつ人のことである。

この聴覚障害者にはろう者(聾者)、軽度難聴から高度難聴などの難聴者、成長してから聴覚を失った中途失聴者が含まれる。

日本では聴覚障害者として身体障害者手帳を交付されている人は約36万人。しかし実態は、聴力が衰えた高齢者や「話すのにやや不便を感じる」というレベルのものまで含めると、約600万人いると言われる。

聴覚障害は、情報障害・コミュニケーション障害といったとらえ方をすることもある。『障害』という言葉は「さしさわり」「害」という意味を持つ言葉であるため呼称を変更するよう提案する立場がある。この立場を支持する人々の間では「聴覚障がい」と表記される。もちろん「言葉狩り」の批判も存在する。また、国語審議会による同音の漢字による書きかえ以前の正しい表記である「障碍」を使う場合もある。これについては国語国字問題を参照。

かつては聴覚障害者を指して「つんぼ(聾)」と呼ぶ言葉があったが、現在では差別に当たるとして放送禁止用語差別用語とされ、TVや出版物での使用の自粛が行われており、日常会話で使われることもほとんどなくなっている。「つんぼ」を用いた用語として「聾の早耳(つんぼのはやみみ)」、「聾桟敷(つんぼさじき)」という言葉があるが、これも当然のことながら差別に当たるとして使用が自粛され、現在では死語となっている。

目次

概要

原因

聴覚障害の原因には風疹などによる先天性と後天性がある。後者には、病気、薬の副作用ストレプトマイシンが代表的)、長期間にわたる重度騒音や頭部への衝撃、精神性ストレスによる突発性難聴、加齢などがある。一般的に、聴覚障害者は聴覚以外に身体的欠陥はないが、重複障害を持つものもある。

分類

聴覚障害のタイプには、伝音性感音性混合性がある。伝音性は内耳までの間の音を伝える経路に原因がある場合で、感音性は内耳から奥の聴覚神経や脳へ至る神経回路に問題がある場合である。 混合性は伝音性感音性の二つを合わさったものである。

聴覚はセンサー機能について述べ、聴力は聞く能力について述べているといえる。つまり、ある特定の聴覚神経が欠けていると、その波長の音は聞こえない。一方、聴力は聞き取る能力が低下したりする場合にいう。大きな騒音環境にいて、一時的に聞こえの能力が低下した場合は聴力低下という。

治療、対処

発話訓練
生まれつき、または3~5歳までの言語機能形成期に聴覚を失ったり、聴力に低下を来した場合、発話障害を伴う場合がある。しかし、最近の聾学校では性能が発達した補聴器の装用で発話訓練を十分に行うようになっている。このため、昔は聾唖(ろうあ)・瘖唖(いんあ)と呼ばれたが、最近では発話面の障害がないことが多いため聾者(ろうしゃ)と呼ばれることが多い。ちなみに、「聾」・「瘖」は聞こえないこと、「唖」は話せないことを指す。
人工内耳
聴神経に音が伝わらない場合、内耳の中に電極を挿入して、補聴システムでとらえた音声信号を電気信号に変えて、その電極から聴覚神経へ直接伝える人工内耳が普及してきた。電極の数に制限があり、一方残存聴覚神経にも個体差があるため、電子回路で患者一人一人に合わせた信号補正を行っている。人工内耳の手術後も言語聞き取りのために訓練期間が必要になってくる。
補聴器
加齢などで聞こえの程度に不自由を生じた場合、補聴器を装用することが多い。そのような場合、特定周波数をとらえる聴覚神経が欠損している場合もあり、補聴器を装用したからといって、健康な状態へ回復するとは限らない。

社会的な不利益

聴覚障害の最も大きな問題は、外見上、障害が判別できないことである。そのため、二次的に社会的な不利益を伴うことが避けられない。

程度による区分

聴覚障害の程度は、医学的にはデシベル(dB)で区分する。デシベルとは音圧の単位で、健康な場合に対しどれだけ聞こえが悪くなったか(大きな音でないと聞こえないか)を示す。

聴覚障害のdB区分
dB 聴覚障害 聞こえの程度
0 聴者  
10 ささやき声
20
30 軽度難聴  
40 普通の会話
50 中度難聴
60  
70 高度難聴 大声
80
90 怒鳴り声
100 ろう ガード下での鉄道走行音
110 地下鉄走行音
120  
130 飛行機のエンジン音

両耳で70dB以上になると、身体障害者手帳を交付される。40dB前後を超えると「話すのにやや不便を感じる」レベルになる。身体障害者手帳が交付されない40~70dBの人達も含めると、聴覚障害者は全体で約600万人いると言われる。そのうち、約75%は加齢に伴う老人性難聴である。

なお、欧米の聴覚障害判定基準は40dB以上である。

<【参考】騒音公害の環境基準。夜間の住宅地は45dB以下。新幹線沿線住宅地は70dB以下。ただし、騒音公害の場合のdBは正確にはdBsplという単位であり、聴覚を表す音圧レベルはdBHLという単位であることから、比較の対象としてはあまり適当ではないと考えられる。>

平均聴力レベルの計算式

平均聴力レベルは次の計算式で求める。労働災害の認定には6分法を用い、健康診断では4分法を用いる傾向が多い。

3分法
平均聴力レベル=\frac{500Hz + 1kHz + 2kHz}{3}
4分法
平均聴力レベル=\frac{500Hz + (1kHz*2) + 2kHz}{4}
6分法
平均聴力レベル=\frac{500Hz + (1kHz*2) + (2kHz*2) + 4kHz}{6}


身体障害者福祉法による区分

日本では、身体障害者福祉法によって身体障害者等級を定めている。聴覚障害の程度に応じて以下の等級の身体障害者手帳が交付される。

2級
両耳の聴力レベルがそれぞれ100dB以上のもの(両耳全ろう)
3級
両耳の聴力レベルが90dB以上のもの(耳介に接しなければ大声語を理解し得ないもの)
4級
1. 両耳の聴力レベルが80dB以上のもの(耳介に接しなければ話声語を理解し得ないもの)
2. 両耳による普通話声の最良の語音明瞭度が50%以下のもの
6級
1. 両耳の聴力レベルが70dB以上のもの(40cm以上の距離で発声された会話語を理解し得ないもの)
2. 一側耳の聴力レベルが90dB以上、他耳の聴力レベルが50dB以上のもの

(補足)

  1. 同一の等級について二つの重複する障害がある場合は、1級上の級とする。ただし、二つの重複する障害が特に本表中に指定されているものは、該当等級とする。
  2. 異なる等級について二つ以上の重複する障害がある場合については障害の程度を勘案して、当該等級より上の級とすることができる。

(「身体障害者施行規則第七条第3号別表第5号」の「身体障害者障害程度等級表」より)

聴覚障害者と話す時は

まず、聴覚障害者本人に、どういう方法が良いのかを聞くとよい。その時に、声を出して話す方法(口話法)なら口をパクパクするジェスチャー、筆談なら紙に文字を書くジェスチャーをする。

  1. 口話でする場合。
    1. ゆっくり、口の形をはっきりとすると相手が理解しやすい。声ははっきりとした声が良い。しかし、大声を出すと、補聴器が極端に増幅された音声をカットするため(耳の安全を守るため)、逆に聞き取りにくくなる。
    2. 『今日は良い天気です』は、「今日は・良い・天気です」というように区切りながらしゃべると相手が理解しやすい。しかし、「き・ょ・う・は・よ・い・て・ん・き・で・す」とすると、相手が理解できなくなる。
    3. また、ザワザワしている所は、他の雑音も耳に入るため、相手は理解しにくくなる。(聴覚障害者は補聴器をつけると、雑音も一緒に耳に入り、雑音だけをカットすることは出来ない。)
    4. ジェスチャーも交えながら話すともっと良いだろう。例:タバコの話なら、タバコを吸うジェスチャーも交える。
    5. 時々、相手に通じたかどうか確認しながらやると良いだろう。
    6. もし、相手に通じにくかったら、言い方を少し変えてみると良いだろう。例:「本日は晴天なり。」⇒「今日の天気は晴れです。」
  2. 筆談の場合。
    1. 出来れば、向かい合って座るのではなく、隣かコーナー側に座るようにする。(向かい合った状態では、書く側の字と見る側の字が正反対なので筆談しにくい。)
    2. 聴覚障害者の中には、日本語が苦手な人もいる。もし、相手がそのような人だったら、
      • 一文は短くするようにする。例:今日は高いレストランに行ったが、料理はおいしくなかった。⇒今日は高いレストランに行った。しかし、料理はおいしくなかった。
      • 二重否定や、あいまいな表現は使わない。例:私は行きたくないと言うわけではない。

聴覚障害者に呼びかけするときには、声だと聞こえない場合があるので、肩を軽くたたくか、テーブルを軽くたたいたりして振動で知らせるのが良いだろう。

有名な言葉

  • Blindness cuts you off from things; deafness cuts you off from people.(目が見えないことは人と物を切り離す。耳が聞こえないことは人と人を切り離す。)ヘレン・ケラー
  • Deaf people can do anything except hear.(ろう者は聞くこと以外は何でもできる。)キング・ジョーダン

著名な聴覚障害者

家族に聴覚障害者がいる著名な人物

  • 今井絵理子 ― 長男に視覚障害があることがわかった。

関連項目

外部リンク

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