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権利の所在が不明な著作物(けんりのしょざいがふめいなちょさくぶつ、Orphan Works)は、著作者の死亡または法人・任意団体の解散から相当年数を経過しパブリックドメインに帰属しているかどうか、或いは著作権の保護期間内であるが遺族ないし権利譲渡を受けた団体の所在が不明な著作物のことである。
権利の所在が不明な著作物の種類大別して以下の3通りに分けられる。
当然ながら、保護期間が立法により人為的に延長された場合は権利の所在が不明な著作物は増加することになる。また、権利の所在は判明しているが「採算が合わない」などの理由で公開されずに死蔵されている著作物も増加することになるため、そうした状態に置かれている著作物も権利の所在が不明な著作物と併せて近年、問題視する動きが強まっている。 主なケース
裁定制度著作権法では、権利の所在が不明な著作物の利用に際しては文化庁長官の裁定を仰ぎ、補償金を国庫に供託することで利用が可能となる(第67条)。 但し、裁定は新聞・雑誌・インターネット上などで情報の募集を掲載するなど、権利の所在を探す為に「相当の努力」を行ったにも関わらず、その所在が掴めなかったと言う場合でなければ受けられない。 裁定を求める場合は、文化庁に所定の書類を提出したうえで長官が使用の可否を判断するが、許可された際に支払う補償金の額は文化審議会著作権分科会により決定される。 日本以外ではイギリスやカナダ、韓国においても裁定制度が存在するが、制度の根拠が途上国を対象とする特例を定めたベルヌ条約附属書第4条の強制許諾手続であるため、G8加盟の先進国である日本やイギリス、カナダにおける裁定制度は条約違反であると主張する学説も有る。 また、裁定制度が存在するからと言って孤立作品の問題が発生しない訳ではないことは、2006年9月25日の大英図書館による声明でも指摘されている通りである。裁定制度は権利保有者に無断で著作物を使用させることを公権力が承認するのと同義であり、申請者から見れば本来はパブリックドメインになっている可能性があり金銭負担を必要としないはずの著作物の使用に補償金を負担させられると言う側面が有るため、制度の存在が直ちに孤立作品問題の根本的な解決策となるものではない。 欧米での議論アメリカ合衆国では、1989年のベルヌ条約加盟までは議会図書館著作権局に対して登録申請を行わなければ著作権が発生しなかった(現在でも、訴訟提起に際しては著作権局への登録が必要である)が、著作権局に登録された著作物でも著作者の没年や権利継承者に関して最新のデータが反映されている訳ではなく、権利の所在が不明な著作物は大量に存在する。特に、1998年の著作権延長法(CTEA)成立はその傾向を一層顕著にし、ミッキーマウスに代表される現在も商業的価値を有する2%弱の著作物を「延命」する一方で長い年月により商業的価値の失われた98%の著作物を埋没させるものだと言う批判がローレンス・レッシグらにより為されている。これを受けて、著作権局では2004年より「孤立作品(Orphan Works)に関する調査」を実施し、2006年2月に報告書を公表した。 この報告書では、以下のように孤立作品の問題を迅速に議論し、解決すべきであると指摘している。
報告書を受けて2006年5月には下院に日本やイギリスと同様の裁定制度を導入するための法案がラマー・スミス(共和党)らにより提出されたが、ハリウッドを始めとするコンテンツ産業の強硬な反対に遭い審議未了で廃案となった。その後、2008年に上院・下院へそれぞれ異なる修正案が提出され、審議が進められている[3]。なお、これらの法案では孤立作品の利用を認める条件として「著作権の所有者を特定するために相応の努力」をすることを求めているが「相応の努力」について裁定制度のような客観的方法に拠る評価が行われないことを問題視する意見も存在する[4]。 また、欧州委員会でも欧州連合 (EU) 域内で発生している同様の問題について調査を進めている。 脚注
関連項目外部リンク
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