守秘義務

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守秘義務(しゅひぎむ)とは、一定の職業や職務に従事する者・従事した者に対して、法律の規定に基づいて特別に課せられた、「職務上知った秘密を守る」べき法律上の義務のことである。

目次

概要

守秘義務は、公務員弁護士医師中小企業診断士など多数の職業において、法律によって定められている。これら法律上の守秘義務を課せられた者が、正当な理由なく、職務上知り得た秘密を漏らした場合、処罰されうる。

法律で定められた守秘義務の例

国家公務員法 第100条
第1項 「職員は、職務上知ることのできた秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後といえども同様とする。さらに情報を得た、国家公務員以外の者も情報を広めた場合、同罪とする。」と定められている。違反者は最高1年の懲役又は最高3万円の罰金に処せられる。
地方公務員法 第34条
第1項 「職員は、職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も、また、同様とする。さらに情報を得た、地方公務員以外の者も情報を広めた場合のみ同罪とする。」と定められている。違反者は最高1年の懲役又は最高3万円の罰金に処せられる。
独立行政法人通則法 第54条
第1項 「特定独立行政法人の役員(以下この条から第五十六条までにおいて単に「役員」という。)は、職務上知ることのできた秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も、同様とする。」と定められている。違反者は1年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処せられる。非特定行政法人の場合も個別法で守秘義務が課せられている場合が多い。
国立大学法人法 第18条
(役員及び職員の秘密保持義務)第18条 「国立大学法人の役員及び職員は、職務上知ることのできた秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も、同様とする。」と定められている。違反者は最高1年の懲役又は最高50万円の罰金に処せられる。
弁護士法 第23条
(秘密保持の権利及び義務)第23条 「弁護士又は弁護士であつた者は、その職務上知り得た秘密を保持する権利を有し、義務を負う。但し、法律に別段の定めがある場合は、この限りでない。」と定められている。
電気通信事業法 第4条
第1項 「電気通信事業者の取扱中に係る通信の秘密は、侵してはならない。」
第2項 「電気通信事業に従事する者は、在職中電気通信事業者の取扱中に係る通信に関して知り得た他人の秘密を守らなければならない。その職を退いた後においても、同様とする。」と定められている。第1項の違反者は最高2年の懲役又は最高100万円の罰金に処せられる。
電波法
第59条 「何人も法律に別段の定めがある場合を除くほか、特定の相手方に対して行われる無線通信を傍受してその存在若しくは内容を漏らし、又はこれを窃用してはならない。」
第109条 「無線局の取扱中に係る無線通信の秘密を漏らし、又は窃用した者は、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。」第2項 「無線通信の業務に従事する者(無線従事者)がその業務に関し知り得た前項の秘密を漏らし、又は窃用したときは、2年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する。」
技術士法 第45条
「技術士又は技術士補は、正当の理由がなく、その業務に関して知り得た秘密を漏らし、又は盗用してはならない。技術士又は技術士補でなくなつた後においても、同様とする。」と定められている。違反者は最高1年の懲役又は最高50万円の罰金に処せられる。親告罪
刑法 第134条(秘密を侵す罪
第1項 「医師、薬剤師、医薬品販売業者、助産師、弁護士、弁護人、公証人又はこれらの職にあった者が、正当な理由がないのに、その業務上取り扱ったことについて知り得た人の秘密を漏らしたときは、6月以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する。」
第2項 「宗教、祈祷若しくは祭祀の職にある者又はこれらの職にあった者が、正当な理由がないのに、その業務上取り扱ったことについて知り得た人の秘密を漏らしたときも、前項と同様とする。」
保健師助産師看護師法
第42条の2 「保健師看護師又は准看護師は、正当な理由がなく、その業務上知り得た人の秘密を漏らしてはならない。保健師、看護師又は准看護師でなくなった後においても、同様とする。」
第44条の3 「第42条の2の規定に違反して、業務上知り得た人の秘密を漏らした者は、6月以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する。」(第1項)
中小企業診断士の登録及び試験に関する規則
第5条第1項 「経済産業大臣は、申請者が次の各号のいずれかに該当する場合には、その登録を拒否しなければならない。」
第5条第1項第七号 「正当な理由がなく、中小企業診断士の業務上取り扱ったことに関して知り得た秘密を漏らし、又は盗用した者であって、その行為をしたと認められる日から三年を経過しないもの」
第6条第1項 「経済産業大臣は、中小企業診断士が前条各号(第九号を除く。)のいずれかに該当するに至ったとき又は不正の手段により登録を受けたことが判明したときは、その登録を取り消すものとする。」

「正当な理由」について

  • 守秘義務の存在にかかわらず、職務上知り得た秘密を開示することが認められる「正当な理由」の範囲や対象については、法解釈上、非常に難しい問題がある。
  • 組織に属する者が、その組織の不正行為を知り、その不正行為が守秘義務の対象となる情報を含んでいる場合、その者が内部告発することによって確保される公益と、その者に課せられている守秘義務のいずれが尊重されるべきか、という問題がある。近年、工学系の諸学会において、このような問題を含む技術者倫理のあり方が検討されている。今後、公益通報者保護法のような法規によって、この問題に一応の決着を付けることが期待されているが、実際には個別の事案ごとに考えざるを得ず、法規によって一律に線を引くことは不可能であるとの意見もある。
  • 児童虐待防止法では、虐待のおそれのある児童を発見した学校の教職員、医師、弁護士等に、児童相談所等への通告を義務づけ、これら職種に課せられた守秘義務を明文で排除している(同法6条1項、3項)。
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証言拒絶権

日本の裁判所における裁判において、日本の裁判権に属する者に対しては、一般的に、証人として証言することが義務とされ(証人義務民事訴訟法192条等参照)、これに違反すると制裁が科せられる場合がある。しかし、守秘義務が課せられた職種では、その職業上の守秘義務が、証人としての証言を拒絶するための正当な理由となりうる。これを、証言拒絶権という(民事訴訟法191条1項、197条1項、刑事訴訟法144条、149条等参照)。

関連項目(契約上の守秘義務の例)

法律上の守秘義務とは別に、次のような契約上の守秘義務が問題となる場合がある。

  • 業務提携デュー・ディリジェンス仲裁合意をする場合など企業秘密を互いに共有ないし提出する必要がある場合には、互いにその秘密を守ることを要求されるため、守秘義務契約(英 : en:Non-disclosure_agreement・略称NDA。秘密保持契約(協約・約定) secrecy agreement または confidentiality agreement、機密保持契約などとも呼ばれる)を締結することがある。
  • 製品開発、特許基礎技術の研究、個人情報を取り扱う業務などで、従業員に対して、退職後も守秘義務を課する労働契約等を締結している場合がある。これについては、様々な裁判例がある。
  • 要約筆記奉仕員のような、プライバシーに直接関連する業務については、従事する者がボランティアで行っていたとしても、秘密を守ることが要求される。
  • 報道のための取材を行う記者などは、報道の自由を全うするために、取材源秘匿権を有する。その裏返しとして、これら記者などには取材源を秘匿すべき職業倫理上の守秘義務があると解されている。

これらの契約上の守秘義務に関する詳細については、それぞれの関連項目等に譲る。

参考文献

This article is from Wikipedia. All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.


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