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イーサネット(Ethernet) はコンピュータネットワークの規格のひとつで、世界中のオフィスや家庭で一般的に使用されているLAN(ラン、ローカルエリア・ネットワーク)で最も使用されている技術規格である。 イーサネットの語源は物理学のエーテル(Ether)の概念から来ている。 現代のLAN(Local Area Network)では、主に物理的な規格である「イーサネット」と、通信内容の取り決めを決めた「TCP/IPプロトコル」の組合せが一般的である。
概要イーサネット規格は技術の進歩に合わせて毎年のように新たな規格が登場している。初期の同軸ケーブルによるLANから発展を続け、今日では世界中のLANの多くがイーサネット規格を採用し、より広い範囲のネットワークであるMANやWANでも一部の技術は「広域イーサネット」という名称でイーサネット規格を取り込み始めている。 イーサネット規格の基本仕様は、7層あるOSI基本参照モデルの下位二つの層、物理層、データリンク層相当で規定されている。 本項目の後半部で示すように、物理層は伝送速度の違いや物理的な仕様により多種の規格に分かれるが、データリンク層は、世代交代を重ねて来た新旧の規格同士の間にも互換性があり、新旧装置の混在環境でも部分的に低速なネットワークとして機能する。通信速度は、初期の10Mbps(ビット毎秒)の10BASE-Tから、その10倍の100Mbpsの伝送能力がある100BASE-TXが普及し、今日では1Gbpsの1000BASE-Tが普及しつつある。また、新たな規格として10GBASE-T(UTPによる10ギガビット・イーサネット《10GbE》)規格が決定された。さらなる高速規格として40ギガビット・イーサネット(40GbE)や100ギガビット・イーサネット(100GbE)などが国際的な通信規格について話し合う組織であるIEEEにおいて調整段階にある。 名称の「イーサ、ether」は、古典物理の時代に宇宙の隅々まで満たしているのではないかと考えられた仮想の物質、「エーテル」(Ether、Aether)から付けられた。 歴史イーサネットの発想の原点はハワイ大学のノーマン・エブラムソン教授が開発した「ALOHAシステム」と言われている。ハワイ諸島の島々を4,800ビット/秒の無線によるネットワークで結ぶシステムであった。[1] ALOHAシステムのアイデアに基づいて最初のイーサネットは1972年~1973年にかけて、米ゼロックスのパロアルト研究所(PARC)において、ロバート・メトカーフを中心に開発された。1973年5月22日、特許として登録したため、この日がイーサネットの誕生日とされる。発明当初の伝送速度は2.94Mbpsで、これは当時開発中のコンピュータ XeroxのAltoのベース・クロック5.88MHzに合わせた為だとされている。ゼロックス社はその後、特許を開放してオープンな規格とし、インテルとDECを開発に加えて、1979年、3社の頭文字をとってDIX仕様を制定する。伝送速度は10Mbpsだった。翌年の1980年には、この仕様をIEEE 802委員会に「Ethernet 1.0規格」として提出・公開した。このオープン規格に対して世界中の企業・技術者が技術の使用と製品の開発に加わり、さまざまな商品が生み出されていった。メトカーフ氏自身もゼロックス社を退社して米3Com社を創設しこのネットワーク製品開発競争を主導していった。1980年代当時は、米IBM社が「トークンリング」を、米アップルコンピュータ社がAppleTalkという「ローカルトーク」をそれぞれネットワーク製品として強力に推進していたが、結局、規格を公開して多くの賛同者を得たイーサネットが勝ち残った。[2] 現在、普及しているイーサネットは、1982年に提案された「Ethernet 2.0規格」を元に、1983年にIEEE 802.3 CSMA/CDとして策定された仕様である。 イーサネット初期の10BASE2/5/-Tの時代は、OS側でのネットワーク・サポートは限定的であり、PCではNovel社のNetwareやIBM社のLan Managerといった専用ソフトを購入しないとファイル共有といった基本的な機能すら得られなかった。 1980年代のPCではネットワーク・インターフェース・カード(NIC)やイーサネット・カードと呼ばれるマザーボードに差し込むISA/EISA/NESA形式のドーターカードがオプションで販売されていることが多かったが、1990年代初めにはPCI形式でのカードがPCに標準的に備わり、1990年代後半にはCPUの専用周辺回路であるブリッジ・チップに最初から回路の一部が含まれるのが普通になったため、マザーボード上にイーサネットのジャックであるRJ-45が備わっていた。この頃にはイーサネットによるLAN機能の実装が当たり前になるとともに、イーサネットという用語そのものを使うことがまれになった。2007年現在では、マザーボードによっては2つのネットワーク・ポートを持つものも珍しくない。 通信技術イーサネットは、OSI参照モデルにおける物理層およびデータリンク層を規定するものであり、IEEEによりIEEE 802.3およびその拡張版として仕様が公開されている。[3] 歴史に述べるように、1970年に原型が開発され、1980年にIEEEに提出・公開され、1983年にIEEE 802.3として規定されたイーサネットは、50Ω同軸一芯ケーブルを利用し、バス型のトポロジーを持ったネットワークであり、半二重通信で10Mbpsを達成したものである。追って、10BASE2のThin Ethernetケーブル、10BROAD36の75Ω同軸ケーブル、FOIRLでマルチモード光ケーブルが使われるようになり、さらに1BASE5、追って10BASE-TでUTPケーブルが使われるようになり、物理的構成でもスター型構成がとられるようになった。その一方でデータリンク層は、後述するジャンボフレームやVLANによる拡張はあるものの、基本的には信号的な互換性があり、メディアコンバータ等を用いて各規格をつなぎあわせることで、相互にフレームをやりとりすることができる。 物理層OSI参照モデルにおけるレイヤー1(物理層)は、50Ω同軸ケーブルによるバス型接続を基本としている。物理的にはスター型構成をとる場合も、論理的にはバス型構成である。現在はIEEE 802.3の拡張により、UTPケーブルや光ケーブルなど、様々なインフラを利用することができるようになっている。 イーサネットでは、信号を伝送するにあたり変調が行われる。ベースバンド変調を行うものは名称にBASEを、ブロードバンド変調を行うものは名称にBROADをつける決まりとなっている。 ベースバンド変調では、10BASExではマンチェスターコードが用いられた。マンチェスターコードは、各ビットを示す信号の中央で常に Lo 初期のイーサネットは論理的、物理的ともにバス型構成であり、複数の端末が1本の同軸ケーブルに接続されていた。多数の端末が繋がっている場合には、任意の端末AとBとの「1対1」の排他的な通信は不可能であり、端末Aから送出されたデータは、同じイーサネットの配線に繋がっている全端末へ届けられる「1対全」の通信方式である。「1対全」の通信である為、既に端末AとBが通信している時に端末Cが新たに送信したい場合は、伝送路の空きを待つ必要がある。複数の端末が接続されているときに、ほぼ同時に送信が行われた場合、衝突することがあり、その場合データが損失する。これを衝突(コリジョン)と呼び、その対策が後に述べるCSMA/CD(Carrier Sense Multiple Access/Collision Detection)である。CSMA/CDは、ギガビットイーサネット(IEEE 802.3ab等)までサポートされている。 イーサネットでは元の送信すべき通信データをまず一定の長さ以下に分割して、決められた形式による情報のかたまりを作り上げる。この情報のかたまりをMACフレーム(Media Access Control Frame)、または単にフレームと呼ぶ。イーサネットでは常にMACフレームの形で情報が伝送路を流れている。元の情報が分割されているために、ネットワーク機器は一定の長さ以下の情報を扱うだけで済むため、情報転送に関わるあらゆる処理が非常に単純な作業の繰り返しで済む。 物理的構成イーサネットの物理的構成は、PCやルータ等のネットワーク機器(ノード)およびケーブルで組み立てられる。イーサネットは論理的にバス型構成であるため、一つの論理的バスの固まりをコリジョン・セグメント(または単にセグメント、コリジョンドメイン等)と呼ぶ。コリジョンセグメント内のノードは各々電気的に等価であり、すべてのフレームが全ノードのネットワークインターフェイスに受け取られる。各ノードのネットワークインターフェイスはMACアドレスを持ち、自分宛でないフレームは廃棄する。また、スイッチングハブ等、レイヤー2以上のネットワークをサポートする機器を利用した場合全二重通信を行うことができる。
CSMA/CDイーサネットを特徴づけるものがCSMA/CD(Carrier Sense Multiple Access/Collision Detection ; キャリア検知多重アクセス/コリジョン検出)であり、通信経路上での信号の発送手段を規定している。物理的に類似した他方式、トークンリングの場合は、経路上のノード間でトークンと呼ばれる特殊なパケットを回し、受け取ったノードのみがフレームを送信することができるが、イーサネットでは、各ノードは自由に信号を発信することができる。その一方で信号の衝突が発生するため、通信路上を常に監視し(キャリア・センス)、衝突が検出(コリジョン・デテクション)された場合は、若干の時間待機した後、フレームを再送する。待機時間はTBEBアルゴリズムで決定する。 短所として、たとえ混雑して送信待ちの端末が多数あっても常に通信路に空きが生じるため帯域に無駄が生じる。また、他の通信方式でも同様だが、規格で表わされている伝送速度は通信路に流せる全ての情報に対する通信容量であり、フレームの頭に付くヘッダーやプリアンブル、フレーム間ギャップも通信容量を消費するため、ユーザーデータの伝送速度は常に規格の速度をある程度下回る。TCPやIPを使用すればその分のヘッダなどがさらに通信容量を消費する。
初回の衝突後では#0と#1の2つの待ち時間候補からランダムに選ばれる。2回目の衝突後は#0、#1、#2、#3の4つの待ち時間候補からランダムに選ばれる。3回目の衝突後は#0、#1、#2、#3、#4、#5、#6、#7の8つの待ち時間候補からランダムに選ばれる。同様に10回目の衝突後は#0、#1、#2、#3 ~ #1022、#1023の1024個の待ち時間候補からランダムに選ばれる。10回目以上の衝突回数後はすべて1024個の待ち時間候補からランダムに選ばれる。こうすることで、混み合った場合に各端末が短時間で何度も送信を試みて衝突を繰り返すことを出来るだけ避けるように工夫されている。また各候補は512ビット時間(後述)分の1スロット時間ずつ間隔があけてある。なお同一セグメント内での端末数の上限数「1024」はこの「1024個の待ち時間候補」から定められた数であり、もし1024の端末すべてが再送待ちを行なえば必ず衝突が発生することから決められた。
データリンク層イーサネット規格のレイヤー2、つまりデータリンク層では、送信するMACフレームの作成や受け取ったMACフレームの解釈に関する作業を規定している。 送信の場合を考える。ネットワーク端末であるイーサネット通信装置はホストであるコンピュータからの情報を通信路に送出するためには、まず受け取った元データが長ければいくつかのかたまりに分割する。 このデータのかたまりは46~1500バイトの大きさである。これに以下の付加情報を加えてMACフレームを完成させる。
あて先MACアドレスの前にプリアンブルの8バイトがあるが、これは96ビット時間以上のフレーム間ギャップと同様にレイヤー1層「物理層」で自動的に挿入されるためにレイヤー2層「データリンク層」であるMACフレームの規格には含めない。 DIX規格でのプリアンブルの8バイトは実際は10101010で構成された7バイト分のプリアンブルと1バイト分のスタート・フレーム・デリミター(Start frame delimiter、SFD)で構成されている。 あて先MACアドレスと送信元MACアドレスの6バイトは全く同一の構成をとり、最初の2ビットで通信種別を表わし、マルチキャスト、ブロードキャスト、ユニキャストなどを指定する。続く22ビットでMACアドレスを使用するネットワーク機器のベンダーがIEEEから購入したベンダー固有の番号が入る。最後の24ビットでベンダーが自由に割り振る番号が入リ通常は通し番号が使われる。MACアドレスは全世界でただ一つのユニークな番号である。 IEEE 802.1q規格でオプションのVLAN使用時には「長さ/タイプ」の前に4バイトが付加され、フレーム全体も4バイト分長くなる。このVLANという仮想LANのための4バイトが付加された場合は、最長フレーム長が1518バイトから1522バイトへと変わるがネットワーク装置は正しく処理を行なう必要がある。初期のネットワーク装置には1518バイトを超えるフレームを正しく処理できないものがあったが、最近のネットワーク装置はほとんど1522バイトまでのフレームを正しく処理できる。 DIX規格でのタイプとIEEE 802.3規格での長さ/タイプは混在していてもかまわない。この2バイト分のフィールドの値が46から1500であればそれはIEEE 802.3規格での長さを表わしており、1501以上であればそれはDIX規格でのタイプを表わしている。 FCSによって、あて先MACアドレス、送信元MACアドレス、タイプ、データの4つの領域の情報が正しいかを判定する。判定のためのエラー検出方法はCRC(Cyclic redundancy check)法を使う。 フレームの終了を示す信号は存在せず、最後のFCSの信号が途絶えた時点で受信側はフレームの終了を判断する。荒っぽい方法であるが、このことによってデータやFCSには完全に自由な2進情報を含めることが可能となり、フレームの簡素化やネットワーク装置の処理の単純化が得られている。
レイヤー2の情報は「行き先MACアドレス」が要求すればLAN上のスイッチング・ハブによってセグメントを越えて伝送される。つまりレイヤー1だけではセグメントの境界にスイッチング・ハブが位置しており、送出された信号はセグメントを越えることは無いが、スイッチング・ハブの内部では一度レイヤー2まで階層を登って解釈され行き先MACアドレスを読み取って、隣のセグメントやその先のセグメントであれば、別のセグメントへと転送されるため、セグメントを越えることが出来る。このため、スイッチング・ハブの内部ではそれぞれ接続されたセグメントごとに所属する端末のMACアドレスを一覧リストとして保持しており、MACフレームを受信するたびに高速で比較して転送先を決定している。 こういったレイヤー2スイッチング・ハブの動作は全ての速度・形式のイーサネット規格で同一である。
個別のイーサネット規格名同軸、ツイストペア、光ファイバー)などの通信路の違いや、10M/100M/1G/10Gbps等の伝送速度の違いにより多種の規格が規定されている。イーサネットの規格名の大体の付け方を以下に示す。
「10BASE-T」では「10」は10Mbpsの転送速度、「BASE」は変調を行わないベースバンド転送を、「T」は通信路にアンシールデット・ツイステッド・ペア・ケーブル(Twisted pair cable)を使用する事を意味している。もちろん上記の全ての組み合わせがあるわけではない。 機器およびケーブルイーサネットを構成するための機器およびケーブルについて説明する。 機器イーサネットの物理層に対して給電を行い、信号を中継し、MACフレームを構成し、CSMA/CDに従ってフレームを送受信する。ここでは、イーサネットが規定する物理層、データリンク層をサポートする機器について解説する。 リピータ、ブリッジ
ハブ詳細はハブ (ネットワーク機器)を参照
ハブは、スター型構成の中心になる機器であり、複数の端末を接続し、リピータとして信号の中継、再生を行う。OSI参照モデルの第1層(物理層)での信号の伝送を行う装置。
スイッチングハブはレイヤー2スイッチとも呼ばれ、その名前の通り、OSI参照モデルの第2層「データリンク層」での情報転送を行なう装置であり、インターネットのMACフレームをMACアドレスによって転送先を決める。「レイヤー2スイッチ」(L2スイッチ)は「LANスイッチ」や「スイッチング・ハブ」とも呼ばれる最も代表的なイーサネットのネットワーク機器である。もともとイーサネットの登場初期にリピーター・ハブと呼ばれる伝送路の中継アンプがあり、その機能を大幅に発展させたものがスイッチング・ハブつまりレイヤー2スイッチである。 ケーブル同軸ケーブル10BASE2, 10BASE5はともに50Ωの同軸ケーブルを使用する。10BASE5では直径12mmの、通称Thickケーブル(またはイエローケーブル)を使用する。また10BASE2では10BASE5のケーブルの約半分、直径5mmの、通称Thinケーブルを使用する。 光ファイバー光ファイバー参照。10BASE-F, 100BASE-FX, 1000BASE-SX/LX等で使用する。一般にマルチモードファイバー(MMF)とシングルモードファイバー(SMF)を使用する。一般にMMFは芯線が太く、曲げに強く扱いやすいが、通信距離が短く速度が遅い。屋内配線等に向く。SMFは芯線が細く、曲げに弱く高価であるが伝送損失が小さく、遠距離通信に向く。 ツイステッド・ペア・ケーブルイーサネットに使用するケーブルの内、最も多く使用されているのはツイステッド・ペア・ケーブル(Twisted Pair Cable)である。詳しくはツイストペアケーブルを参照。
以下にカテゴリー数と適用転送速度規格を示す。STPはシールドやその他の工夫によって高い周波数特性を持っている。
カテゴリー6以下のUTPでは、上位互換性があり周波数特性に優れたグレードの高いケーブルを下位の伝送速度での接続に使用しても問題がない。販売されているケーブルにはカテゴリー数の略称が「Cat5」や「Cat5-e」などと表示されている。 通信速度別・カテゴリ別イーサネット仕様10メガビット・イーサネット100メガビット・イーサネットギガビット・イーサネットギガビット・イーサネットを参照 10ギガビット・イーサネット詳細は10ギガビット・イーサネットを参照 10ギガ・ビット/秒の転送速度のイーサネット。転送速度が非常に高く、ツイステッド・ペア・ケーブルでは必要な周波数特性が十分に確保できないため、光ケーブルの使用が多い。データの送信が終了する前に衝突を検出できない為、半二重通信とCSMA/CDをサポートせずに全二重通信だけを使用する。 分類
伝送距離による分類
普通は伝送速度と伝送距離を組み合わせて10GBASE-LRのように呼ぶ。現在標準化されている規格は次の通りである。
その他
一覧表
出典
関連項目
外部リンク
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